劇場公開日 2019年3月29日

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「真実の記事は「足」で書くもの」記者たち 衝撃と畏怖の真実 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0真実の記事は「足」で書くもの

2019年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

単純

知的

『スポットライト』や『ニュースの真相』など、調査報道を題材にした実録映画はとかくシブくて地味になる。
でもそれと同時に、重厚な“チームもの”映画として見応えがある。
「記事は『足』で書くもの」とは、業界内でよく言われる言葉だが、まさに本作に登場する記者たちは、当事者に会ったり現場に赴いてネタを得てくる。
91分という短いランニングタイムでありながらも、そうしたジャーナリズムの本質をしっかりと描いている。

主要キャスト皆良いが、中でも監督にして支局長を演じたロブ・ライナーの、飄々としていながら頼れるボスぶりが観ていて痛快。
あとウディ・ハレルソンの妻役に、政治情勢が激しかった旧ユーゴスラビア出身のミラ・ジョヴォヴィッチを配したのは意図的か。
トミー・リー・ジョーンズ扮するジョー・ギャロウェイが、原作者として関わった映画『ワンス&フォーエバー』について、憮然としたコメントをするシーンも笑った。

先に『バイス』を観ていたせいもあるが、とにかく内容がコインの裏表。
劇中、チェイニーやラムズフェルドの記録映像が出てくるが、クリスチャン・ベールとスティーブ・カレルが、『バイス』でいかにそれぞれをソックリに演じていたかが、よく分かる。

支局長の、「我々は若者を戦場に送る政府の味方ではない。戦場に向かう若者の親の味方だ」という言葉が染みる。

regency