劇場公開日 2019年9月27日

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「中学生の物語であることを忘れないで観る」惡の華 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5中学生の物語であることを忘れないで観る

2019年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

押見修造のこの原作に、岡田麿里が脚本、監督が井口昇というのは面白い組み合わせだ。実際、この座組みの妙がしっかり出た作品だったのではないか。押見修造は少年の痛々しさを描くのが上手いし、岡田麿里は女性の欲を生々しく描くのが上手い、井口昇は変態的なものへの感性が鋭い。少しでもこういう題材に対して、冷笑的になったり、斜に構えた態度で描いてしまうと、とたんに薄ら寒い作品になってしまっただろうが、そういう素振りが一切なく原作の魅力を映像にきちんと定着させることに成功していると思う。
伊藤健太郎と玉城ティナも良い芝居をしている。ただ、一点残念だなと思うのは、やはり中学生に見えないことだ。この作品は中学生の物語であることが決定的に重要なので、そこは脳内で「これは中学生なんだ」と言い聞かせないといけない。しかし、それさえ除けば非常に良い実写化だったのではないか。玉城ティナは今後女優としてのかなり期待できると思った。

杉本穂高