「青春の翳りと煌めき」殺さない彼と死なない彼女 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
青春の翳りと煌めき
3組の高校生の物語が別々に平行して描かれていき、最後のほうで意外な結びつき方をする青春群像劇。いずれも高校生活の真ん中にはいない疎外されたというか孤立したというか、ある種の孤独なハミダシ者や変り者たちの青春の一瞬の煌めきと儚さと切なさを穏やかでリアルな空気感の中に描き出している。
間宮祥太朗・桜井日奈子・恒松祐里・堀田真由・ゆうたろう・箭内夢菜の6人の若い俳優たちの演技がいずれも素晴らしく、マンガ的な台詞でありながらいかにも高校生がしゃべってそうな自然な台詞回しが良かった。薄い靄のかかったような淡い光の映像感もいい(照明を一切使わず自然光だけで撮影したそうだ)。ちょっと市川準のデビュー作『BU・SU』を思わせる。もしくは台湾映画『藍色夏恋』とかそういう系統の、影がある青春映画。小林啓一監督はその後も青春映画の傑作を連発している。
原作はTwitterに投稿され、熱狂的支持を受けて書籍化された4コマ漫画とのこと。映画もロングランのヒットになったらしいが、それもうなずける。期待にたがわぬ素晴らしさだった。
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