「私は無理」岬の兄妹 茉恭(まゆき)さんの映画レビュー(感想・評価)
私は無理
ぬるま湯コンプライアンスの中で目が腐っていたのだろうか?
かつて活劇はこんなに自由だっただろうか?
足の悪い兄と、自閉症で知的障害者の妹を売春させて生きていく生活。
そこに福祉という日本の生きる温情が全くない。
友人の警察官ですら、犯罪と知りつつ止めさせない。
こんなのは日本じゃない。
いっそ日本じゃなかったのなら、こんな不憫な国がまだあるんだなぁと傍観できたのかもしれない。
ただただ、怒りと憐みの感情しか湧かず、
いやいやこれはアンチテーゼで、最後は絶対にハッピーエンドに違いないと、
ただそれだけに期待していた90分、
それは儚く打ち破れた。
演じた俳優さんは本当に素晴らしかったし、
予算をかけずにこんな濃い90分を作りあげたのはすごいと思う。
ただ…。
もっと他にもできたんじゃない?
この内容に福祉入れて、120分にしたって良かったと思う。
観ている側に何かを考えさせるならまだしも、
救いがない気持ちにさせてどうしようというのかと思ったりもした。
監督の狙いがいまいち伝わってこない。
それだけで、この作品はどんなに賞賛されても私は手放しで喜ぶわけにはいかない。
加えていえば、友人を警察官にすべきではなかった。
警察官ならそういった人たちを守る法律があることを知っているはずだ。
だからどうしても違和感しか残らない。
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