劇場公開日 2019年3月1日

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「一蹴させる」岬の兄妹 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5一蹴させる

2020年2月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

数年前に「最貧困女子」という本が出版されましたが、その解説にセックスワーカーは知的障害や精神障害を抱えている女性が多いとありました。今作を鑑賞して本の解説を思い出したと同時に、なぜ最貧困になるのかという理由が理解できました。私は最貧困の人達が障害者手帳や生活保護等で生活していると思っていたのですが、そうではありませんでした。良夫と真理子は、そもそも福祉の存在を知りません。彼らの周りには説教をする人間はいますが、福祉に繋げてくれる様な良識のある人間がいません。頭が悪いと言いますが、賢く生存する術を教えてくれる人も皆無です。PCやスマホを使ったり、何かを調べたり、そういった私が普通にできていることも生活環境に左右されるものだと知りました。

女性は身体を売れば何とか生きていけるという意見がありますが、今作はその意見を一蹴させる作品です。また、良夫の視点から真理子を描いているので、女性やセックスワーカーが受ける痛みを男性でも想像しやすい作品だと思います。性的な表現で女性蔑視を感じさせる邦画が多い中、今作はそんなことを感じることもありませんでした。鑑賞後、どうしようもない居心地の悪さが取れないのですが、この感覚は、イ・チャンドンを鑑賞した後に近い感覚です。

ミカ
R41さんのコメント
2024年6月8日

おはようございます。
この作品に関して、皆さんの感想の違い、見ている視点の相違がはっきりと感じられるのがすごいと思いました。
私も見て言えて気分が悪いのは禁じ得ませんでしたが、最後の最後に見ていた視点がひっくり返りました。

R41
kossyさんのコメント
2020年2月18日

ミカさん、お久しぶりです。
福祉の存在を知らない人はけっこういるんでしょうね。
また、頑なに福祉を拒否する人だっています。
民生委員は各地域にいるにはいるけど、それを拒む人もいる。
こういう問題作は頭の中にずーっと残ってしまいますね・・・

kossy