「本当に見て良かった!」岬の兄妹 Ishikawa Peroさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に見て良かった!
自閉症の妹を兄が売春させる話しと聞いて、評判はいいけれど、日本で見落とされている底で生きる人を生々しく描く話だと勝手に想像して暗くて重い話かと思って二の足を踏んでいたら、それを軽々と乗り越える笑える映画だった。
ポン・ジュノ監督や山下敦弘監督の元で助監督をしていた片山慎三監督の長編初監督作。
自閉症の妹真理子を養っている片足の不自由な良夫は仕事を首になってしまい、生活に困窮してしまう。食べるのにも困り良夫は真理子を売春させる…
とあらすじを聞くとかなりキツいが、良夫のダメだけど憎めなさ、真理子の天真爛漫さが飄々と辛い現実を乗り越えていく。
とにかく真理子役の和田光沙さんの演技がいい。
タケシ映画だと神聖化してしまう妹を、「ギルバート・グレイプ」の時のディカプリオのように超現実的に演じその上で純真さを見せるという神業をやっている。
キム・ギドクの映画やミヒャエル・ハネケの映画のように生きる事に対して毒を持つような映画だった。
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