劇場公開日 2019年3月1日

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「倫理観が、価値観が揺さぶられる。胸ぐら掴まれたみたいに生を突きつけられる。」岬の兄妹 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0倫理観が、価値観が揺さぶられる。胸ぐら掴まれたみたいに生を突きつけられる。

2019年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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岬という場所は、生と死が入り混じるところと言われる。それがこの兄妹に当てはまるのかどうかはわからないが、少なくとも彼らが極限生活を余儀なくされることだけは確かだ。金もなくなり、保護も受けられず、ガスや電気も止まり、やがてティッシュを食らう。もう一歩進めば確実に死が待っていたはずだ。

彼らは終止符をただ素直に受け入れることはしない。それが倫理に反すること、それを侵すことで人間以下の存在に成り下がることを覚悟の上で、絶望と悔しさの悲鳴を上げながら、それでもどうにか生きようとする。これは何かを糾弾する映画でもなければ、ましてや万人の心を和らげる映画でもない。ある意味、ギリシア悲劇のごとく、考えうる究極の一線を越えながらただひたすらもがき、生きようとする兄妹の物語だ。易々と人にオススメはできないが、それでも胸ぐらをつかまれたみたいに生を突きつけられた。見る側の心に何が芽生えるのかを問われる一作だ

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牛津厚信