「こういう映画を作れるアメリカはすごい」バイス ケイさんの映画レビュー(感想・評価)
こういう映画を作れるアメリカはすごい
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まずもって、そう思う。脚本、台詞含めてどこまでリアルなのかと、実際そのままなんではないか思うし、社会的風刺、ドキュメンタリーでありながらエンタメ要素もある。ただ単にチェイニーを馬鹿にしている訳ではなく、そうさせてしまった、選んだ国民にも責任があるように描いていると感じた。クリスチャン・ベールはメイクも凄いが本人への寄せ方が半端なく、凄まじい。もはや、クリスチャン・ベールの欠片もない。ブッシュのサム・ロックウェルもそのままんだし、パウエルも本人出演かと思った。特にベールの若かりし飲んだくれのバカっぽいチェイニーから、権力を次第に得ていく、ふてぶてしいチェイニーまで演じ分けるのはやっぱり名優。確かにイラク侵攻で両国で多大な死者を出し、収賄疑惑もある犯罪者かも知れないが、家族への愛は絶対的で、人間らしいところも描いており、全面的に悪と描いていない気もする。特に自身が大統領候補だったにも関わらず、娘が同性愛者であることから、家族を守るために下野するなど、良い父親でもある。演説ベタでもあり、ある意味こんな平凡な人が、つまりは誰にでもチェイニーになりうると描きたかったのかもしれない。実際の本人は相当努力したのだろうけど。尻を叩きながら、献身妻を演じるエイミー・アダムスは安定感あり、はまり役だった。
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