「悪い冗談であってほしいけれど…」バイス とみしゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
悪い冗談であってほしいけれど…
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存命の政治家をここまで「悪役」として描くというのは、いくらアメリカとはいえ、相当な覚悟が必要だったのでは思う。
9.11以降のイラク派兵には何の大儀もなく、むしろ取り返しのつかない負の遺産を残してしまったことは、いまや疑いようのない事実として伝えられている。
その戦犯のひとりとして名前が挙がるのが、ディック・チェイニー氏。
法律の隙間を縫うかのように、副大統領でありながら、大統領以上の権力を手にしていたとは…
本作では、強烈なブラック ユーモアと共に、チェイニー氏がやらかしたことの数々を描いている。
中盤に出てくる仕掛けには、思わず苦笑してしまった。
そうだよね、あの時、そうなってくれていれば…
ブッシュJr.が大統領になったことも、当時としては意外中の意外だったようだけれど、それを凌ぐ現実が、トランプ大統領として具現化している。
歴史は繰り返す。だからこそ人は歴史から学ばなければいけない。
本作と「記者たち」の両方を観ることで、本当に絶望的な気分になるのだけれど、こんな愚かなことは二度と起きてはいけないという思いにもなる。
政治というものについては、常に疑いの目をもって対峙しなければいけない。
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