「チェイニーに感じる痛快と恐怖」バイス おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
チェイニーに感じる痛快と恐怖
世界情勢やアメリカの政治についてはまったく無知の私ですが、それでも大筋が理解でき、なかなかおもしろかったです。チェイニーの立ち回りの良さが際立つ部分を、テンポよく繋いで見せてくれたおかげだと思います。その分、頭をフル回転させて見なければなりませんが、大統領や国防長官で多少なりとも知っている名前の人が出てきてくれたのは助かりました。もちろんディック・チェイニーなる人物のことも、今まで何も知りませんでした。しかし、本作を見て、良くも悪くもとんでもない人だということがわかり、とても勉強になりました。
また、途中で流れるエンドロール、語り手の絡ませ方等、構成の面でもおもしろかったです。とくに何度も挿入されるフライフィッシングのルアーが印象的で、チェイニーの「仕掛けて獲物を釣り上げる」生き方を暗示しているかのようでした。
それにしても、多かれ少なかれ似たようなことが、世界であるいは日本で行われているかと思うとぞっとします。権力闘争の前では、国益も人の命もいかに軽いものかということを思い知らされました。
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