「政治を笑え!」バイス とえさんの映画レビュー(感想・評価)
政治を笑え!
9.11当時のブッシュ政権で副大統領をしていたディック・チェイニーを描いた作品
田舎に住んでいる特に取り柄のない大学生だったチェイニーが、恋人のリンにそそのかされて政治家になると、やがて政治家の権力の味を覚えてしまう
そして、そこからのし上がって副大統領に登りつめると、大統領をうまいこと操るようになる
そんなあらすじを聞くと「政治の映画か…難しそうだな…」と思うかもしれない
確かに、この映画は政治を描いた社会派作品で、政治家もたくさん出てくる
でも、これは社会派であると同時にコメディ映画でもあって、声を出して笑ってしまうぐらいに面白い
で、笑って楽しみながらも、次第に当時チェイニーがしていた悪業の数々を思い知らされる
特に、911後のイラク戦争で何が起きていたのかについては、とても衝撃的だった
中には、余りにも一方的過ぎる視点で描かれている部分もあったけれど、でも、元副大統領について、これだけ茶化して映画にしてしまうアメリカの懐の深さを感じる作品になっている
そして、アカデミー賞でも話題のクリスチャン・ベール
もう、正直、クリスチャン・ベールだってことを忘れてしまうクォリティの高さ
映画後の解説では、口の曲げ方までチェイニーの真似をする徹底ぶりだったそうで、迫力がもの凄かった
おかげで、チェイニーという人の非道で、狡猾でありながら薄っぺい人間性をより感じられたと思う
社会派ということに対して、あまり構えることなく、肩の力をを抜いて楽しんだらいいんじゃないかな
あの当時、アメリカの裏側で何が起きていたのかを、ぜひ、感じて笑って欲しい作品