「鋼鉄の制服ここにあり!」ちいさな独裁者 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
鋼鉄の制服ここにあり!
これが実話なのだからビックリ!
20歳とは思えない落ち着きと冷静さを兼ね備えた、まさに鋼鉄のような男。
上等兵だった彼が、脱走した先で手に入れたのは大尉の制服。
この制服には、無敵の力を秘めた恐ろしい力を兼ね備えていたのです。
軍服着ていれば、誰もが大尉として振る舞える1945年。
誰もが制服を着た彼を大尉と信じ、服従していく世界。
制服の力って恐ろしい…。
ヘロルトっていう、なんともヘロヘロな名前の少年なのに、丈の長い大尉の服を身に纏えば誰もが報復する現実。
これも戦争という不思議な力によるものなのでしょうか?
人を簡単に殺して、嘘ばかり突き続けながら生きる若者。
こんな若者が、意気揚々と活躍できたことが只々恐ろしい。
「自分は大尉だ」と威張り散らし、「ハイルヒトラー」と発言すれば、電話一本で人殺しも許可されてしまう世の中。
秩序も道徳も何もない時代では、裏切り、嘘、暴力だけが唯一生きる糧だったとしたら…、正義も何もあったもんじゃありません。
彼だけが犯罪者なのではない、この時代に関わった全ての人が、「ハイルヒトラー」の魔力にかかってしまった、まさに悲劇の記録です。
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