蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
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鑑賞後にあなたの耳は、世界の楽しみ方を知ります
それぞれの天才が音楽をどのように大切にしているかを通じて、私たちにも「音の愛し方」を教えてくれたように思います。 映画の中でピアノコンサートが行われている場面があるのですが、演奏が終わったときに映画の中の観客と一緒に私もつい拍手をしてしまいました。そうさせるだけの音楽による感動が、この映画にはあります。 映画を見ていくなかで、普段なら気にも留めなかったような生活の背景となっている音が聞こえてくるようになりました。俳優さんがセリフを話している背景の雨の音や、ちょっとした衣擦れの音などいろいろな音に気付きました。 映画で素敵な演奏で楽しんだ後も、日々の暮らしの中に隠れているいろいろな音を耳が楽しむことができるようになっていると思います。 ぜひ劇場で素晴らしい音を感じながら鑑賞することをおすすめします。
息を呑む映像
真面目で美しく、こんなに真っ直ぐな映画って最近ほんと珍しい。 人気のあるイケメン俳優で客を呼ぼうという意図もなく、 ただ音楽とはと、問いかけてくれ、この世界に存在している自分の素晴らしさに気づかされる。 松岡さんは最近薬で捕まった女優さんのような容姿で呼ぶ役者さんではないけれど、地に足のついた、演技と思えない佇まいで、そこは自分の集大成を見せよう!という力みもなく こんな難しい役なかなかできないと思いました。日常が何より大切だし、ほんの小さな雨音もこぼさず感じ取る感性を、努力なのでしょうか、媒体となりこちらに伝える力量があるのは素晴らしいですね。 ちやほやされていないからできるとも言えるし、ヘルタースケルターのような役ができる人もまた必要なのかもですが。 でもこの映画の方がやっぱり虚飾の世界よりも実りがあって現実に生きる自分らには宝物のように感じます。 わくわくすること、他と合わせていくこと、神は細部に宿ると言いますが、 この世の中美しいもので溢れていると、汚いものがあるからそれがまた光るので、区別はつけられないというところですが。 もっと早く観て人にオススメするべきでした。
基本音楽がテーマは好きなので。
割と地味目だとは思いますが、若いピアニストがコンクールにかける思いが伝わるいい作品でした。実際の演奏へのこだわりもあり映画を見てて実際のコンクールが進んでいくようなわくわく感と緊張感を感じながら見ることができました。秀作です。松岡茉優さんのファンでもあるので(;^_^A
黒い馬が雷雨を疾る幻想的なイメージシーンから、掴まれる音楽に魅入られた人々の物語
三人の天才と一人の秀才のピアニストが、コンクールで優勝を目指す。 冒頭の黒い馬が雷雨を疾る幻想的なイメージシーンから、掴まれる音楽に魅入られた男女の物語で、とても良作。 トラウマでスランプになった元天才ピアニストの松岡茉優が、少しずつ音楽を楽しみ、輝きの戻る過程や日系フランス人の天才を演じる森崎ウィンや新人の鈴鹿央士などの役者の好演で見応えがある。 四人の内、努力家の秀才で社会人のピアニストの松坂桃李が、最初の予選落ちするのが、なんとも。 音楽や芸術には持って生まれた才能が不可欠なイメージを払拭することにはならない筋立てから、抜けられ無いのか。 音楽感を映像に置き換えた撮影と演出も美しくて、監督の石川慶の手腕は中々。 音楽コンクールの舞台裏や鹿賀丈史の指揮者の曲者振りなども楽しめた。 欲を言えば、演奏中にカットバッグで、ドラマが進行するので、音楽がぶつ切りになる傾向があり、尺や演出上の都合だと思うが、演奏のフルバージョンは無理でもなるべく全編を聴かせて欲しいと思う。 あと日本映画のほとんどに言えるが、音響へのこだわりと質がイマイチと感じた。映画館によって設備の優劣は有ると思うが。 京都アニメーション制作の「響けユーフォニアム」シリーズの音響に対するこだわりを見習って欲しい。演奏もきちんとフルバージョンで聴かせてくれるし。特に京都アニメーションの「リズと青い鳥」の音響へのこだわりは凄い。
原作とかけ離れている
原作が読者に語りたかったこととは全く違う話になっていた。「主人公が悩みながらも、それを乗り越えて頑張りました」という、ありきたりな話に塗り替えられていた。途中で、ならもういーやと思ったが、満員で途中退席もできず、やむなく最後まで観るはめに。キャストは良かっただけに残念だったな。
完成度の高さ
キチンとお金がかけられていて、堅実に引き締めるところと実験的なところが良い塩梅で演出されていた良い邦画だった。あまり説明的に過ぎないよう、抽象さを捨てていないところもよかった。主人公の覚醒後はもう少し劇的に、時間をかけても良い気がするけれど。 観賞後、漫画「ピアノの森」とか「昴」(コンクール物つながりで)を思い出した。未読の原作を読みたくなりました。 片桐はいりの小ネタは、個人的に好きです。
ギフトの意味が
原作読んだ直後に観賞。 奏者たちが、お互いの演奏に刺激されあってどんどん高まっていく描写がない。塵くんが「ギフト」とされた意味も、マサルくんの天才的魅力も全然出てこない。単に、アーちゃんがトラウマ拭っただけ。4人の俳優が一所懸命ピアノ練習したことだけ評価。 追記 ソリストに合わそうともしないポンコツな指揮者が世界的権威なわけない。合わそうともしないポンコツなオーケストラは存在しない。不快だったのでどうしても書かせてもらう。
レビュー書く難しさ(自分の表現力と語彙力の無さ)に泣く
私は松岡茉優さんが好きで、公開後すぐにでも観に行きたかったのになかなか劇場まで行けませんでした。 待ちに待った本作を心踊る気持ちで観たので、いつもよりかしこまった状態で観ました☺︎ まず、本作に関して軽々しく感想を述べてはいけないような格式高い映画作品となっています。 これはやはり、凡人の私があれこれと書いてはいけないな、と思ってしまう作品だからです。 何故なら… 天才、亜夜役の茉優ちゃんがこの役を演じるために渾身の力を込めているところとか、 悩みながら、苦悩しながら演じているんだろうなー、とか ヒシヒシとスクリーンを通して私は感じたからです。 だから最後の亜夜の泣き方が…、何とも言えない顔だったから、私まで泣きました。 明石役の松坂桃李さんは逆に天才でもないけれども、自分の音楽に対する自信がスクリーンに表現されていて…。どこからくるんだろう?このどーんとした落ち着きみたいな感じ? 明石の生活者としての音楽は誰にも負けないっていう演技は凄かったです。とても説得力ありました! その他のキャストさん方々も皆さんとても素晴らしかったです、本当に!! 演奏シーンは実際にコンサートで聴いている錯覚に陥るほど、音響効果抜群でもう最高でした! 途中で馬が出てくるのですが、これがまた良いアクセントみたいになっていて良かった! 確認のためにもう一度劇場で観たい作品となっています! まだ、ご覧になっていない方がいらしたら是非劇場で堪能していただきたいです😊
原作をシンプルにまとめた
原作が圧倒的な傑作だっただけに観るか迷ったが、そもそも映画化が難しい作品なので、どこを切り取り、どう描いたのかを見届けるべきかと。 やはり別物と考えるべき。原作で涙したエピソードは一つも無かった。人それぞれで切り取る部分も違って当然。一緒に観た嫁さんが良かったと言っていたので良しとしたい。 松岡茉優が輝いていた。そして松坂桃李が明石のイメージに近かった。あとは……。 彼らの音楽への愛情は伝わったと思う。しかし、いろいろな意味でギャップが大きく、採点が辛くなった。
素晴らしいけど松岡莱優が物足りなかった
個人的に天才の話が大好きなので、途中まではかなりの傑作!と観ていたけど、中盤、終盤がなんかもったいなかった。コマーシャル映画かアート映画か、タイトル含めて微妙な立ち位置の映画だけど、これなら2時間半くらいやってもよかったのでは。 鈴鹿央士は素晴らしかったし、森崎ウィンも、いいキャスティングだったけど、松岡莱優がちょっと残念だった。割と器用な女優さんだと思っていて、天才役にどういうアプローチでくるか予告編みて期待してたのだけど、前半の冴えないところは仕方ないとして、クライマックスでの演奏は、ほかのキャラクターとの邂逅を経て、もっと軽やかで伸びやかにいきいきとしてないといけないのではないか、というか、そこの演奏だけで圧倒できるとこだと思うのだけど、どうしたのだろうか、と。
評価の先へ
映画であれ、ピアノであれ、評価を下すべき人間とは一体誰なんだろうか? 若手ピアニストの登竜門とされるピアノコンクールに挑む者たちの姿を描いた作品でありながら、物語の焦点は勝敗の行方には定まらない。むしろ、勝敗など二の次、三の次として扱われ、優勝を渇望する者ほどあっさりとスクリーンから姿を消していく。 物語の軸となる4人のピアニストはいずれも天才と呼ばれる才能の持ち主であり、それぞれがそれぞれの実力を発揮すべく、鍛錬し、苦悩し、そして本番に挑んでいく。コンクールから離れた場所で出会う彼らにライバル心も嫉妬心もない。互いにピアノに取り憑かれてしまった運命を分かち合うかのように、あるいはピアノ界以外に行き場がないという者たちが仲間を見つけたかのように会話を繰り広げていく。 乱暴な言い方かもしれないが、彼らにとってコンクールの勝敗など興味がないのだろう。挑む続ける理由は自分の演奏を音楽界に知らせること、自分の演奏が完璧を超えていくこと、そして自分自身をも乗り越えていくことであり、コンクールは自分自身の存在意義を試す場でしかない。ゆえにセリフではなくピアノ演奏そのものが登場人物の感情を代弁する。 私も含めてピアノや音楽界に精通していない観客にとっては一見、置き去りにされそうな構成でありながら、それぞれの俳優たちが表情豊かに演じきり、観る者の解釈を深めていく。しかし、自身の演奏を成し遂げた主人公に聞こえた音が穏やかな蜜蜂の羽音だったのか、それとも嵐を呼ぶ遠雷の轟だったのかは凡人の私には分からない。だが、それでいい、それだからこそいい。最後に発表されるコンクールの結果をあなたはどう解釈するだろうか?
才能があることの苦しみ
努力したら、とか頑張れば、では決して追いつけない何か。 ステージが違う、私のいるこの先と、彼らのその先は 次元が違う。 才能があるからこその苦しみと、見ることの出来る豊かな世界。 天才は決してひとりだけでは生まれない。同時代にいる天才の羽音が、その揺らぎが同胞を揺さぶり、その先への道を拓く。
ピアニストの心境が伝わる傑作
音楽を好む人は観て損することのない傑作だと思う。 ピアニストの心境や音楽に対する思い、ピアノという楽器を演奏する上でどんな感性をもってどんな表現をするのか。 そして主演の松岡茉優ちゃんの演技がとにかく素晴らしい。 この作品を観て音楽に対する想いを改めて考えさせられた気がした。 おもしろいし本当に観てよかったと思える作品。
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