蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
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無知ですみません
主人公達の描き分けが印象的です。
音楽の演奏を題材とした映画は、役割を演じる役者と演奏する音楽の整合性をどのようにとるのかという難題がありますが、本作はこの難題をみごとに克服しているように感じました。
ピアノにはほとんど初心者の耳にも、作品の中心人物である四人の音楽に対する思い、そしてその情念を演奏にどのように反映させているのかを理解できるほどでした。
もちろん場面のつなぎ方やカメラワークは演奏の邪魔をしないよう入念に計算されているし、楽譜の描き方といった映像ならではの演出も大いに貢献しています。これらの要素を結び付けて高い一貫性を持った映像を作り上げた手腕はとても素晴らしいと感動しました。
物語の本筋は、国際ピアノコンクールの予選から本戦までを描く、分かりやすい構成です。これに主人公、栄伝亜夜の回想が挿入されます。主要な登場人物である四人それぞれの人物がどのような背景を持っているのかも物語を語る上で重要な要素ですが、インタビューの形式をとった語りは、説明臭くならず、物語の流れも阻害しない手法で、これもまた良かったです。
松岡茉優さん扮する栄伝亜夜は、ある過去に囚われてピアニストとしての人生に踏ん切りが付けられないという、少し影のある人物設定です。しかし松岡さんの持って生まれた特性なのか、黙って佇んでいるとどこか近寄りがたい雰囲気があるのにも関わらず、振り向けば親しみやすい笑顔を見せるというギャップがあります。これがむしろ他の天才ピアニストとの交流という描写に強い説得力を持たせています。本当に素晴らしい役者さんだと改めて思いました。
物語の分かりやすさと引き換えなのは仕方ないと思うのですが、主演の四人以外の描写を思い切りよく削っているので、「国際コンクール」の規模が体感しづらかったのは少し残念でした。
予想だにしなかった日本映画の良作!!
ヒットした本を映画化、くらいにしか思っていなかったし、お世辞にも良作を思わせるようなポスターでは無かったので、映画館には行かず最近DVDで鑑賞。
、、観終わった後、ひさびさにその素晴らしさに震えが来ました。
それぞれ個性が引き立つ役者陣。それでいて無駄のない台詞と、無駄を極限まで削り取った台詞のひとつひとつ。
そして秀逸なのがカメラワーク。時にワンショットで、時に寄り引きを巧みに使った演出で、作品の中にグイグイと引き込まれて行く。
全体の演出も、過剰過ぎず、足りな過ぎず、何というか、高級料亭のような絶妙な味加減の肉料理に、お吸い物に、みたいな感じ。
とにかく観終わった後の爽快感も大きく、久々に納得の行く!映画でした。
また本でヒットしたのは知っていましたが、これだけの音楽演奏シーンを、本ではどのように表現しているのか、原作も大変気になりました。
映画全体が素晴らしいハーモニーを奏でているような、まったく想像だにしなかった良作でした!
※唯一!ブルゾンちえみの海のシーンの台詞だけは三文芝居でしたがまぁ見なかった事にします。
久しぶりに必見!おススメの映画です!!
雨の音楽、雨の歓声
見る予定は無かったが、music.jpで配信されていたので何となくで鑑賞。松岡茉優出演の「劇場」と「騙し絵の牙」が楽しみってのもあるけどね。
言葉では表せない表情と音楽での表現。
そこんところは良いんですけどね〜...
いろいろと勿体ないというか、惜しい。
ピアノの天才たちが集まる芳ヶ江国際ピアノコンクールの予選会に参加することになった4人の天才の話。
まず、映像が美しい。
自然の素晴らしさが最大限映し出されている
始まりから自然だから、夢中になりますね。
松岡茉優の演技。
この役にピッタリすぎる。
顔で物事を訴えるのが非常に上手い。心震わされる。
音楽と自然で伝える気持ちの変化。
見てて面白いし、感動する。
言葉で表せない心情の揺らぎがこの映画1番の見どころ。
惜しいところって言ったら、天才さ。
人よりずば抜けている所が描けてない。
ここがホントにもったいない。
4人だからなのか、全員が中途半端にしか描けてない。
雑さが見られるので松岡茉優にしか感情移入出来なかった。
細かいですけどね、指揮者にカメラを当てた時観客席に人がいなかった。ホントに細かいんだけど、しっかりやって欲しいかなと思いましたね。
何を基準に評価しているのか。
それは、自分のコンプレックスを見て評価している。これがスゴい響きましたね。
惜しいけど、面白かった。
松岡茉優、もっとガンバレ!!!
あ、ヤバい、映画始まっちゃう。。。
音楽と物語の重なり
演奏シーンが凄い
私はまだ、 音楽の神様に 愛されている だろうか?
ちょっと期待外れ
期待し過ぎたせいか乗れず…
恩田陸さんの「真夜中のピクニック」が人生ベスト級に
好きな小説だ。
「蜜蜂と遠雷」小説は未読。
この映画を観る限り、小説を観た方は「あのシーン!」と
乗れて、
未読の僕には、この間には素敵なエピソードがあったはず!
このキャラクターの関係性は何か描かれてたはず!
と言うのは容易に想像出来て、
自分には原作にチャレンジして派手に散った作品
だと思えた。
音楽シーンは素晴らしいけど、そんなのは音楽を題材にした
映画なので当たり前であって欲しい。
なので、人間関係やエピソードに盛り上げが欲しかった。
4人の演技は素晴らしいし、
ピアノの天板や側面の黒で過去を映し出す演出は
凄い!と思ったので、キャラクターをもっと掘り下げて、
天才たちだから理解は出来ないけど、
感情移入はさせて欲しかった。
ただ、二人でピアノを弾くシーンで、
この人たちピアノで会話するどころかセックスしちゃってる
なと思いました。
そんな映画ではないのだけど。
小説読みます。
ピアノの音がほんっとうに素敵
挑戦に意味がある音楽映画
浜松国際ピアノコンクールの2006年から20015年にかけて計4回取材し小説にした恩田陸の原作を、ポーランド国立映画大学出身の石川慶が脚色、演出・編集した音楽映画、の概要のみで鑑賞。メイン楽曲がベートーヴェンやチャイコフスキーではなく、ラフマニノフでもなくプロコフィエフということで俄然興味深く観た。期待値が高すぎたのか、落胆の感想になる。音楽映画ならば、オペラ、ミュージカル、オペレッタの題材から、作曲家、指揮者、オーケストラメンバー、歌手などを主役にした映画化はすんなり想像がつく。ゴッホやモディリアーニなど天才画家は絵的には簡単だ。でもピアニストは実際のピアノを演奏しなければならない。結果、それをどう見せるかの工夫が感じられなかった。また、天才の内面を描くことは困難であることを改めて認識してしまう。4人のコンテスタントの才能の閃きの瞬間を撮るなら、ドキュメンタリー映画に委ねるべきである。
腑に落ちないのは、指揮者の描き方。有名なコンクールのプロの指揮者で鹿賀丈史が演じて見せる傲慢な音楽家は聞いたことがない。ピアニストの個性にある程度合わせる仕草を見せて、尚指揮者の拘りを印象付ける役柄で良かったのではないか。審査委員の描写も凡庸極まりない。撮影ピオトル・ニエミイスキの映像は綺麗だが、内容に溶け込んだ映像美にはなっていない。若い俳優は難役に挑戦したと思う。ただ演技で人間味を感じたのは、平田満ひとりに終わる。
テレパシー
期待はずれ
原作を読んで、映画化に期待し見ましたが最悪でした。
原作とはかけ離れた脚本で、原作の良いところが完全に殺されています。
もし原作を読まれてない方はぜひ読んで下さい。1000倍感動します。
こういう作品を取りたいのなら、原作を扱うのでなく、自分で1から脚本したもので撮るべきです。
ドラゴンボールをハリウッドで実写化して失敗した時の衝撃です。
高評価で絶賛している方の意味がわかりません。
唯一の救いは俳優の方々の演技と音楽面をサポート、作曲されたプロの方の素晴らしさでしょう。
登場人物それぞれの気持ち、葛藤、成長が見どころなのにまったく薄っぺらいものになっています。
マサルの天才さ、高島のコンテスト後の感動、亡き天才ピアニストが送り込んだ風間塵というギフトの重み、挫折してからの初めてのコンテストでの亜夜の成長がまったく原作の1/100ほどしか表現されておらず、なぜこんな映画にしたのかと腹が立つ程です。
鹿賀丈史さん演ずるソリストもあんな描写ありません。なんであんな失礼なソリストの脚本にしたのか疑問です。
正直、別な監督さんで取り直してもらいたいほどです。
原作者に失礼だなと怒りが湧くほどでした。
食わず嫌いはよくない。
原作は知っていました。
なので、これを映像にすると聞いた時、
どんだけの天才に演奏させたら成立するのか、
正直、鼻で笑っていました。
新人の鈴鹿央士がなんぼのもんじゃ!と、完全に見下していたわけです。
ところが、劇場はロングラン、アカデミー賞にノミネートされるわで、
え?え?……え?状態。
観て納得しました。
なるほどこうきたかと。
邦画は国内で採算が取れるように作るので、
予算の上限が決まっています。
なので、演者が演奏することはなくとも、それらしく演じなくてはなりません。
あぁ、なるほど。それでアカデミー賞の助演男優賞かと、
納得いたしました。
食わず嫌いは本当によくないですね。
この作品がIMAXで上映されているうちに観ておけば良かったけれど、
家でも大音響で観たので、まぁ満足ですw
世界を鳴らして
公開時良さそうだなと思いつつも、何故か劇場スルー。
そしたら、国内映画賞で軒並み高い評価や受賞を。
こうなってくるといつもながらのミーハー心で早く見たくて堪らなくなり、本作もレンタルを待っていた。
若手ピアニストの登竜門とされるある国際ピアノ・コンクール。
それに挑む姿を、4人のピアニストに焦点を絞って描く。
“文字から音楽が聴こえる”“圧倒的な音楽描写故映像化不可能”と言われた、史上初の直木賞/本屋大賞W受賞のベストセラー小説の映画化。
原作は未読。
4人の天才ピアニスト。
かつて神童と将来を期待されながらも、ある悲しみをきっかけに表舞台から姿を消し、7年振りに再起を懸ける亜矢。
年齢制限ギリギリで、今回最後のコンクール。岩手の田舎町の楽器店で働きながら、ドキュメンタリー番組の密着や家族のサポートで挑む明石。
アメリカの名門音楽院で学び、今回優勝候補とされる期待の星。亜矢とは幼馴染みでもあるマサル。
そして、亡き有名ピアニストの推薦で突如現れた異端児、塵。
彼らが奏でるピアノはそれぞれ違う。
ブランクを感じさせないピアノ、生活に根差したピアノ、情熱的なピアノ、賛否両論ながらも聴く者を惹き付けるピアノ…。
素人からすれば、不思議なものだ。
ピアノ一つでこうも違う。
でも、映画だって同じ。
同じ役を別の役者が演じれば、全然違う。そういうのをどれだけ沢山見てきた事か。
映画監督の演出も人によって、リハ無しの即興もあれば、脚本や絵コンテに沿って緻密で何度もテイクを重ねたり。
ピアノを全く弾けない自分が言うのも何だけど、だからピアノは魅力的で奥が深い。
松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士の四重奏は絶品。
松岡は陰を潜め、松坂は人間味あり、森崎は熱さほとばしり…複雑な内面を体現。
中でもやはり、オーディションで抜擢された鈴鹿の自然体の演技と不思議な魅力。圧巻のピアノ演奏も披露。
勿論3人もピアノを猛特訓し、実際弾いているシーンもあるが、全編弾いているのではなく、“弾いているように見える”だったのが残念。幾ら才ある役者たちでも、ピアノを天才プロ級に弾くのは難しいか…。(でも海外では演者が実際にピアノ演奏を披露する作品は多いけどね…)
他キャストでは、ホール責任者の平田満、威厳たっぷりの世界的指揮者役の鹿賀丈史がハマり過ぎ!
繊細に弾き始め、幻想的な心理描写で間奏し、圧巻のピアノ演奏でフィナーレ!
人間のエゴを印象深く描いた『愚行録』でデビューした石川慶監督が、至宝の音楽映画でまた新たな才を披露。
ピアノ演奏時の回転や奏者を下から捉えたり、オーケストラ演奏時も楽団の中を回り、時には空を舞うようなカメラワークは見る者聴く者の心情とリンク。
映像も美しく、4人の心情や内面や精神を様々なイマジネーションで表現。
また、日本を代表する世界的ピアニストによる演奏や数々の名クラシック曲が言うまでもなく素晴らしい!
これだけでも劇場で聴きたかった。今更ながら悔やむ…。
ピアニストたちは自分の人生の全てをピアノに打ち込む。
幼い頃から、遊ぶ時間も寝る時間も割いて。
ピアニストもそれぞれ。
努力家もいれば、天才肌も。
ピアニストたちは何故ここまでピアノを追求する…?
夢。既存のクラシック曲を弾くのではなく、かつての名作曲家たちのように、新たなクラシック曲を作る。壮大な夢。
ピアノが好き。ただただ好き。どうしようもないくらい好き。演奏してる時は楽しく、この上ない幸せ。
再起の為。それは自分一人ではなく、周りも魅了する。新たな世界が開け、新たな鍵盤(人生)をーーー。
素敵な台詞が幾つもあった。
世界は音楽に溢れている。
世界が鳴っている。
雨の音。馬の蹄の音。風の音。鳥のさえずり。…
蜜蜂の羽ばたきや雷鳴に至るまで。
そんな音楽を聴きたい。
そんな音楽を弾きたい。
世界を鳴らして。
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