蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
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天才が向こう側の人だとしても
原作未読。
真正面から骨太に物語を描ける、国内では希少な監督だと思います。役者陣の演技も素晴らしく、噛み応えのある作品。音楽そのものの描き方も、端折ることなく丁寧に感じました。
という良作だからこそ気になるのが、芸術における天才は、なぜ少し「幼く」「不思議」な存在として、乱暴に言えば「一部が欠けている」感じで描かれるのでしょうか。
恐らく時間の制約等もあるでしょうが、「ちょっと不思議な芸術的天才」のキャラクターにはめることで、キャラクター説明を省略できる、ということもあると思います。もしくは原作がそうなっている、事実芸術的天才はそういう人が多い、ということがあるかもしれません。
しかしその人物描写はどこか既視感があり、この監督だからこそ、皆がキャラクターに逃げることの多い芸術的天才という人物像を真正面から描いて欲しかった、という残念さもあります(この監督は「逃げた」のではないとは思いますが)。
高島が向こう側とこちら側に一線を引いた時、私は対象への理解を得難い観察者となってしまった、視線が一つ上がってしまったことが、少々哀しかった。もちろん「登場人物に共感できない!」「感情移入できない!」みたいな、クソみたいな意見を言うつもりはなく。
ただしそれでも十二分に良作。雰囲気だけではない、質実剛健で骨太な作品を今後も期待します。
俳優が世界を鳴らすのよ
要所要所で挟み込まれる黒い馬のイメージは幼い頃母を亡くした事とそんな時でも「天才少女」を要求する周囲への恐怖かな。
その恐怖から立ち直るために挑んだコンクールを通して、世界は蜜蜂の羽音から遠雷の轟音まで音に満ち溢れ、それを知ることで自分の音楽を取り戻していく話。
素直によいストーリーなんだけど、それ以上に俳優たちがとても良い。
他人と関わることに臆病になっている冒頭から演奏を通して悦びに溢れた笑顔まで振りはばの広い松岡茉優、やがて遠雷のように名前を響かせる事を感じさせる安定感のある森崎ウィン、そして蜜蜂のように軽やかな表情を見せる鈴鹿央士。
特に鈴鹿は「若いのに凄いな」と観ていたらエンドロールに「新人」とあって二度ビックリ。
音楽と原作を愚弄する最低のクズ映画
あちら側の世界
音楽に限らず、古くから続く技術の世界には、それぞれ道を極めた人たちの、あちらの世界がある。凡庸な自分にはよくわからないが、こうした映画やドキュメンタリーで見るごとに、あちら側の世界を垣間見ることができる。
本作、若い天才たちと、それと競いながら見つめる少し年上の高島明石(松坂桃李)の構図があり、その点で本作のポイントと感じた。明石がつぶやく「天才たちの世界はわからない」とか、「あなた達天才を見てると、自分も音楽をやっていていいんだと思える」といったセリフが、単なる天才同士の極限の交流ではなく、あちら側の世界を日常に紐付けてくれた。ま、そういう明石も相応の天才なのだろうけど。
松坂桃李も、若手イケメン俳優から、こうした脇で物語を締める良い役者になって来まさしたね。主演の松岡茉優は、亡き母の関わる音楽へのトラウマを抱えた復活をかける天才役、森崎ウィンが、悩める野心家の若き天才を、新人の鈴木央士が天性の才能を持つ少年を演じ、それぞれ独特の役をとても自然に見せていた。特に、周囲の天才に影響を与える風間塵役の鈴木央士は、本当に楽しそうにしていて、見ていてホッとする。
本作のキラーワード「世界が鳴っている」について、多分彼ら天才とは感じ方は違うものの、だれでも共感できる経験はあると思う。そうした普遍性と、天才たちの世界をミックスさせた良作だと思います。
ピアニストのことがよくわからなくても
心地よい音に包まれた濃密な時間
原作好きも納得!
「秀逸」
妙にエロティックな世界観
世界が「鳴らせ」と、君に言っている。
何で俺、プロコフィエフのNo.2なんか選んじゃったんだろ。イヤ、もっと大変そうなNo.3選んだ人が目の前におるやんw
松岡茉優が普通に良かった。と言うか、これでも普通な感じなんだから不思議。期待値、高いんだ、この子に対しては。意識してなかったけど。
蜜蜂(世界の音を奏でる風間)と遠雷(亜夜の感じ取る世界)で「世界を鳴らす事」の意味に目覚めるピアニストの物語。丸っ切り、音楽映画。
冒頭が白々してて辛い。英語の演技がどうのこうの言ってる前に英語脚本が今ひとつなんじゃ。俺達が聞いても分かりやす過ぎるんだから、少し子供っぽいのではないかと。これ、外国人役者さんの演技には影響すると思う。
ピアノ演奏が始まってからは、意味なく涙が滲んでしまう場面だらけ。
松坂桃李のカデンツァ。最高。月明かりの中での連弾は、ドビュッシーからペーパームーン、ベートーベン、またドビュッシー。ペーパームーンはあざとかったw プロコフィエフはマジです、迫真です、興奮ものです。
「あなたが世界を鳴らすのよ」。世界が選んだのが自分、じゃない。私は、自ら望んで、世界の音をピアノで鳴らす道に進むのだ。いや、母の望みでもあるのが、この道だから。
この場面が「キター!」。予告で流れてるシーンなんですが、此処が鳥肌もの。
音楽が好きな事が前提だけど、良かった。期待以上で、かなり良かったです。
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(10/7追記)
ピアノ工房で。見上げる窓から降り注ぐ明かりは「月」からの贈り物。二人のピアノが素敵だった!
「ほら月の光だよぉ」って言う感じでシズシズと、ゆったりとしたタッチで鍵盤を静かに押し下げる風間。誰かと話ができる嬉しさを抑えながらも、小躍りしたくなるような明るい気分が抑えられず。でも照れるように短い単音から入り、徐々に声を大きくしていく亜夜。先に歩みを早めようとしたのは亜夜でタッチも前のめりになって。そこに見つけた夜店に入ってしまう、みたいな。再び月夜の元に戻り、静かに目を閉じる様に鍵盤から指を離す二人。
実際の演奏がどなただったのかは分りませんが、この場面が一番「映画」らしかった。大好きです!
世界から音楽が聞こえる・・☆
原作未読での鑑賞です。
原作を読んでいる方とは感想は異なることでしょうが、映画を見て
家に帰り、すぐにamazon musicでクラシックピアノのベストプレイリスト
を聞いてしまいました。
コンクールに出場する4人のアーティストの個々のエピソードが描かれます。
原作未読なので、わかりませんが本人たちのこれまでの生い立ち?などは
ほとんど描かれません。
コンクールの何日かが全てです。
・・ですので、そちらの物語を求めている方には不向きかのしれません。
ですが、そんなものをすっとばして ピアノとその楽器が奏でる音楽を
愛するなら、なんとも言えない感動が味わえるような気がします。
代理とはいえ、演奏シーンが素晴らしいです。
4人ともそれぞれ個性が表れて とても楽しめます。
決勝大会の演奏は圧巻で、泣いてしまいました。
松岡茉優と鈴鹿央士の月のシーンも良かった。
この映画の評価は、クラシックだけではなくピアノの音が好き・・と
いうことかもしれません。
見て良かった・☆
追記・
明石の演奏 宮沢賢治の
「あめゆじゅとてちてけんじゃ」
久しぶりに思い出し、懐かしく切ない音に泪しました。
これほど心に刺さる映画とは想像していなかった
映画の予告編を観て、ピアノの好きな私としては
是非観たい映画だな、とは思っていました。
先程鑑賞し終わって、まだ心が震えています。
ショパンのプレリュード 雨だれで始まります。
この曲が映画の後半に再び出てきますが、私は
そこで号泣してしまいました。両隣の席が空いていて
本当に良かった。そこから先はもうずっとウルウル
モードでした。
いや、この映画、泣ける映画では無いと思います。
でも涙が止まりませんでした。出てくる曲が
好きなもの多かったり、地元の幕張が出て来たり、
バッハの平均律とかちょっと弾けたりするので
思い入れが強く出たかもしれないけど、純粋に
音楽家達の、音楽にかける想いが伝わって来て
素晴らしく感動しました。
マサルのフルートと合わないシーン、本当にあって
なかった。このような技術も大したもんです。
芸術系の映画製作は、かなり難しいと思いますが
良く出来ていました。
これは文句なく(私的には)5点満点でした。
出来るだけ音響の良い劇場で鑑賞されると良いと
思います。
コンサートに来たと思えば安い
原作を活かしきれていない
うーん。どうだかなぁ。
原作の世界観が、反映されていない気がするのは気のせいでしょうか?
なんだか、悩める若きピアニスト(亜夜の事)と言う事に重きを置くあまり、その他の描写がばらばらになってしまった気がします。明石の家の描写が必要以上にありますし、逆に、塵の描写が少なくね?
それと、確かに、ステージマネージャーの優しい目線は、この作品では重要なポイントにはなっていますが、映画では、不必要にステージマネージャーを描きすぎ。
本選の、オーケストラ指揮者の件があるのなら、もっと深堀しても良いと思うんだけど、意外なまでにあっさりと終わる。
本質とは、全然違いますが、驚いたのは福島リラ。劇中(原作)ではマサルと同世代と言う事になっていると思うのですが、彼女の実年齢を知ると・・・。いや、女性に年齢の話は禁句でしたね。でも、ビックリです。
作品全体としては、ツッコミどころをあげれば限が無いですが、かなり残念な出来だと思いました。原作は、良かったのになぁ・・・。
ブラボーの拍手喝采!!!!
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