「世界が鳴ってる」蜜蜂と遠雷 くりさんの映画レビュー(感想・評価)
世界が鳴ってる
ピアニスト達が、触発し合い
見えざる領域への扉を見つけ、
自分達の世界へ旅だっていく
お話しでした。
人の五感でよいと感じると
こんな感じですが
味覚→美味しい
視覚→美しい
触覚→気持ちいい
嗅覚→いい臭い
聴覚→?
心地いい?
どういう言葉がしっくりくるか
選べないんですが、
音によって感情が
揺さぶられるんです。
本作の音は、
聴覚に直接届いて
訴えてきます。
主演の4人にそれぞれ
国際的なピアノ奏者が
いて人物の背景や現状を
音で表現しているのが
わかります。
一般社会では、
ちょっと変な人が
何かが欠落しているが故に
天性の才を身につけていて、
その天才達しか
到達できない領域で
お互いが反応しあって
成長し、彼らの奏でる音の
美しさに心が奪われます。
観ていて、純粋に音の美しさに
浸れるのは、
彼らが足の引っ張りあいなど
をせずに、
お互いを高めあう空気が
こちらにも伝わってくるから。
演者の感動が観客に広がるんです。
ライバルを助け、最終的には、
場のレベルが上がり、
自身の演奏も一皮むけていく4人。
演奏は自分との戦いという
コンセプトを
ライバルとの不毛な駆け引き場面を
映さないことで際立たせています。
だから
栄伝亜夜の
最後の演奏は鳥肌もの。
庭には植えたつもりが無いものの
方が多く育つという
ことわざのように、
刺激しあって
予想しない才能の引き出しが
増えていくのを
スクリーンを通して
共有するのが心地いいです。
美しい音の旋律が
頭を駆け抜けていく
快感を体験できます。
清々しい?あでやか?
う〜ん、よさの種類になっちゃうな。くりさんの言う「心地よい」に一票、でしょうか。
眼を閉じると、聴覚が10倍になるような感じ、ありませんか? それだけ視覚が脳を使っているのでしょうが、あえて、人が音を感じるための機能だって思いたい。
素敵なレビューをありがとうございました。