劇場公開日 2019年10月4日

  • 予告編を見る

「原作のファンも納得の、予想より上々の出来栄え」蜜蜂と遠雷 Naoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0原作のファンも納得の、予想より上々の出来栄え

2019年10月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

知的

恩田陸原作の映画「蜜蜂と遠雷」をTOHOシネマズ日比谷で鑑賞。
本作で直木賞を獲った(受賞は遅すぎたが)恩田陸の作品は殆ど読んでいるが、大変読みやすい文章を書ける稀代のストーリーテラーである。特に発想と設定のユニークさは天下一品で、あまりに奇抜過ぎて後半で巻き取りきれないことがあるのが欠点だが、本作はかなり収拾しきったので、文壇で評価されたのだろう。

ただ、映画化については正直、期待してなかったのだが、思いのほか、上々の出来栄え。とくに、栄伝亜夜役の松岡茉優と、風間塵役の鈴鹿央士との掛け合い、ピアノ連弾や控え室でのすれ違いなど、本当に見事で感動した(^^)
松岡茉優はマスコミ対応でちょっと損をしているが、やっぱり上手いと思った。そして、鈴鹿央士はまさにハマり役、風間塵にびったりである。原作読んだ人は、ここまでリアルにぴったりな配役ができるとは思わなかったはず。

映画としては、始めの入り方は若干心配になってくるペースだが、コンクールが進行し、前述した亜夜と塵の連弾のころから、画面に引き込まれて、脇を固める斉藤由貴や鹿賀丈史、平田満もさすが味わい深い演技。
絵のタッチが日本映画ぽくないなあ、と観ていたら、監督はポーランドで学び、カメラマンもポーランド人、たしかにカメラワークはヨーロッパっぽいタッチで見応えあり。
馬のイメージだけが、ちょっと賛否のわかれるところか(^^;;
実際のピアノ演奏は、河村尚子をはじめ、さすが今、脂の乗り切った日本の若手一流どころ、全く違和感なく演奏に引き込まれた。
あの長大な原作をよく2時間に仕上げたものである。もちろん、小説の表現技巧ほど、コンテスタントの演奏の凄さを表現しづらいのはあるが、全体として望外の出来栄えである。
音楽をテーマとした小説の映画化の困難さを鑑みると、若干甘いが五つ星を付けてもよいだろう。まずは原作を読んでほしいが、映画としてもおすすめである。

naochan926
CBさんのコメント
2019年10月10日

ヨーロッパ映画…なるほど、たしかに。
あ、ググってみると、石川監督って、ポーランドで映画を学び従事したそうじゃないですか。Naoさん、博識ですね。

CB
naochan926さんのコメント
2019年10月8日

CBさん、コメントありがとうございます。
亜夜のセリフで関連する言葉が出てくるとよかったかもですね。
馬の登場自体も、ちょっとヨーロッパ映画っぽい気はしますが(笑)
ただ、単行本500ページ超えの原作を2時間にまとめた技への高い評価は変わりませんが。

naochan926
CBさんのコメント
2019年10月8日

自分もすごく楽しめました。ただ、言われてみると、馬のシーンが示す心象風景は何かわからなかったなあ。監督のコメント欲しいですね。この映画は、原作を忠実に再現しているので、あのシーンだけが、監督の主張の部分なんでしょうか?だったら、そのイメージを共有してみたい!馬が好きだったらピンとくるのかな。

CB
naochan926さんのコメント
2019年10月6日

森のエテコウさん、コメント、ありがとうございます。
冒頭出てきたときは大丈夫かしら、と思いました(^^;;
監督に意図を聞きたい感じです。
もちろん、全体の出来を損なうほどではないので、多くの人に見てほしい映画です。

naochan926
森のエテコウさんのコメント
2019年10月5日

馬のイメージ、気になっています。
音の良いスクリーンで又観たいと思っています。

森のエテコウ