「もし近未来の半島に特機隊があったら」人狼 echo79さんの映画レビュー(感想・評価)
もし近未来の半島に特機隊があったら
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押井守の「ケルベロス・サーガ」韓国版。
ドイツが勝った戦後「If」ではなく、南北統一寸前の近未来「If」を舞台にしたことで、「反体制」ゲリラは「反統一」に変わり、水族館がタワーに、路面電車がロープウェイにとロケーションも変化。
更に実写ならではの派手なアクションや、韓国映画が得意とする「体制の腐敗」描写がガッツリ増量。
それ故に「ドローンならタワーの外から狙った方がいいよ!」と思わずツッコんだり、公安のハン(辺見)がかなりの下衆公務員に成り下がってるのに戸惑ったり。
とはいえ、基本的な筋書きはオリジナルと同じで、その静かな空気感はきちんと受け継がれてるし、特に終盤下水道でイム(伏)が狼に戻るくだりは完全に原作通り。
その後もちゃんと「敵側にとってのホラームービー」になってて、しかも原作以上に人狼が速くて強くて痺れた。
しかしだからこそ、ラストの展開をうまく咀嚼できなかったのも確か。
組織に殉じ「狼」としてしか生きる術を持たない主人公の絶望とともに幕を閉じる悲劇が、全く違うラストに。
おそらく、過去の「If」ではなく、自国の未来についての「If」を描くにあたって、少しでもラストに救いを与えたかったのかな…と解釈しています。
この映画のような社会の混乱が、今も隣り合わせの国だからこそ描けた、過酷な殺し合いと微かな希望。
多分今の日本では描けない物語だし、多少残念ながらも「これについては日本製じゃなくて良かった」と素直に思えた実写化だった。
あと要所で溝口肇さんの原作サントラが流れて、マジ最高でした。
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