「熱くなれない」プロメア garuraiさんの映画レビュー(感想・評価)
熱くなれない
trigger好きで、見に行きました。今日で2回目です。というのも、初見で見落とした所などが無いか心配だったからです。しかし、2回目は観た事を少し後悔しました。
まず長所です。作画はtrigger史上最高でした。ただ、所々3dが微妙な場面は個人的にありました。次に演出。凄いです。3dを生かしたカメラワークとtrigger独自の演出スタイルは作品を素敵なものにしています。加えてガロの目の演出も鳥肌が立ちました。色も鮮やかで、キャラも全員個性的です。クライマックスでの音楽も素晴らしいです。
しかしこのような長所も、次に上げる短所で台無しになってしまったと思います。まず説明が紡ぐ展開。ひたすら説明が出てきます。もちろん違和感なく演出されてますが、よく観るとキャラのセリフの殆どが説明です。例えばバーニッシュの話は、どのキャラも説明して紹介しています。テロリストとして説明し、人間と変わらないと説明し、燃やす理由を説明し、死んだ時の事を説明し...最後の方まで後付けがされます。伏線の回収の部分もありますが、その他の説明に時間を割きすぎ、次の問題が出てきます。キャラの空気化です。キャラは見た目も振りまいも全員がかなりの個性を持っています。問題は、その濃いキャラ達をちゃんと見せていません。キャラを知れる時間が短すぎのです。主役組以外は、ほぼモブみたいな感じでした。特にレミーとビニーは可哀想なくらい出番が少ないです。個人的にビニーは何でいるのかわかりませんでした。
キャラの行動原理もよくわかりませんでした。特に、リオがバーニッシュを助けようと畳み掛けるクライマックスのシーン。そのシーンまではリオの行動原理が明白に見えました。しかし、ガロに不意打ちをくらい冷静になる。そこまでは大丈夫です。が、なぜ彼はデウス博士とガロをついていったのか本当に理解に苦しみました。そんな事をしている場合なのか。仲間が第一で、その為に自ら監獄に行き仲間を助け出したリオが、何で名前呼ばれるだけで建物の中に入っていくのか。そんな事してる間も仲間たちの寿命は削り取られていくのに。リオに対する愛着が冷めました。名前を知ってることに対する好奇心?ついてこいと言ったから?それが苦しんでる仲間より重要か?と思いました。加えてガロの事を敵と見なしてきたリオが、すぐに意気投合したのも、微妙でした。他にもバーニッシュは無闇に人を殺さないと言う数分前に、(部下が)死ねええというシーンや、リオデガロンが最初から炎を使わずに、ピンチの時に使うなどと、展開が強引だと思いました。
総評として、面白くなれるはずの内容と個性的なキャラ達が、映画の時間内に収まれなかった感じがしました。エピソード式にして、キャラ一人一人をもう少し扱って、背景(フォーサイトの過去や、姉妹の絆の話など)を掘り下げた方が良いと思いました。