「楽しくもないし明るくもないが、これが人生だ。」誰がための日々 どうか夢だと言ってくれ!さんの映画レビュー(感想・評価)
楽しくもないし明るくもないが、これが人生だ。
主人公にとって現実は完全に地獄です。いわば、起こらないと思っているけど案外普通に起きてしまう人生の地獄巡りを描いた作品。あれだけ孤立無援な状況の中で自身の存在を否定されたら、それは何が起きてもおかしくない。たとえそれが正常な判断力を欠いた老母からの言葉だとしても。それぞれに事情はあるのだろうが、ただ主人公だけが「真面目」だったから起きた悲劇。医学的には双極性障害と診断されるが、あれだけ重い十字架を背負わされても異常を来さない人間は聖人という他ない。それだけでも悲劇なのだが、世間は傷口に塩を擦りつける真似を平気でする。
…そういう板子一枚下は地獄という現実を仮に味わったことがなくても実感できる作品。しかも悪いことは常に重なる! 特に若い人には人生の予習として、最悪の事態というものを知っているのはいいだろう。
しかも、後味は決した悪くはなく、結局人を生かすのは優しさだよねと教えてくれる。
ちなみに、主人公は日本だったら間違いなく井浦新さんがやるだろうな。あと、抑うつ状態下では食欲がなくなる、風呂に入れない、何もできずに横たわっている(寝ているとは限らない)あの感じは本当です。
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