劇場公開日 2019年1月12日

「ありったけの愛とイマジネーションを捧げてくれた母への感謝の思いに満ちている」マチルド、翼を広げ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ありったけの愛とイマジネーションを捧げてくれた母への感謝の思いに満ちている

2019年1月28日
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鑑賞方法:映画館

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イマジネーションはあらゆる意志や物事の原動力と成り得るものだ。俳優であり、今やフランスを代表する監督にまで成長したノボフスキーにとって、この原動力を授けてくれたのは他ならぬ母の存在だったのだろう。

本作は幼い少女が精神的に不安定な母と共に暮らしながら、重要な場面で何度も涙を飲んだり、母のことを懸命に気がけたり、時には孤独に心が張り裂けそうになったりもする物語だ。しかし、だからといって母のことを恨んだり攻め立てるどころか、本作は絶対に特定のキャラクターのことを嫌な人物として描く真似はしない。

むしろ迸るのは愛であり、ありったけの感謝だ。この母が突飛なイマジネーションを通じて自分に捧げようとした愛がいかに大きなものだったのか。それが映像の温かみ、少女の奮闘からじっくり伝わってくる。ある意味、個人的な映画なのかもしれないが、それを誰もが共有できる境地にまで昇華させている点もまた素晴らしい。

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牛津厚信