劇場公開日 2019年4月19日

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「むつかしい作品だなあ…」キングダム ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5むつかしい作品だなあ…

2020年5月30日
iPhoneアプリから投稿

山崎賢人や吉沢亮の名前も知らない人が観ても楽しめる作品になってるか、と言われると難しいように思う。とくに序盤がたるい。
ベタな王道なのに、脚本の推進力が弱くてたるい。1シーンに1個の意味を持たせるのがやっと、という典型的な日本のエンタメ脚本。
イケメンをかなぐり捨てた山崎賢人の気合いは伝わるけど、脚本がそれを生かしきれてなかった。
フィルム撮影なのか、とくにコントラストの強い夜の場面の質感や色味は美しかった。

途中から橋本じゅんとか、クセの強い敵役とのバトルが始まって、だんだん楽しくなってきた。身体の動く俳優さんのありがたみ。

あとはロケ場所の勝利も。
中国の映画村にある本格的な王宮での撮影を決断したことで、CGのオモチャっぽさを回避、ちゃんと空気感のある画面になっていた。
アクションシーンでは息が白くて寒そう。役者さんたちがんばったんだなあ。

最大の敵役である坂口拓はアクションの人らしく、安心して見ていられる。セリフは不良マンガのチンピラみたいだったけど。
でも結局、おいしいところは全部大沢たかおが持って行った気がする。。典型的なマンガキャラを真顔でやってくれるのでずっと笑ってられた。

疎いなりに理解したのはある程度リアルな中国史+デフォルメされた敵とのバトル+少年マンガの熱血感、という点で実写化のハードルがとっても高い企画たと思う。
アニメなら別に問題にならないことでも、たとえば本郷奏多のゲス顔でごはん三杯行ける私ですら、いかにも悪役な弟王のセリフの一つ一つに神経をそば立ててしまう。
若手の役者さんは表情はうまいけど、声が頼りない。腹から轟くような声を出せ、とは言わないけど。全体に芝居がリアル寄りなのかも。

たぶんここで必要なのは、等身大のリアルさより、舞台役者の存在感やハッタリなんだろうな……などと思うところは色々ありましたが、ジャンルもののあり方について勉強になったし、充分楽しめました。

地味に衣装の質感が高いのもよかった。山の民とか、中国よりも東南アジアっぽいけど…
あらゆる面でむちゃくちゃ難易度の高いこのプロジェクトをよくここまで実現できたなあと清々しい気持ちになりました。

ipxqi