「公共機関の香りがするものの良いゆるキャン映画」映画 ゆるキャン△ styloさんの映画レビュー(感想・評価)
公共機関の香りがするものの良いゆるキャン映画
なんというか、役場や資料館で流れている街興しPVもしくは小学校等で観る「私たちの街」的なビデオ、のゆるキャン△バージョンという印象でした。
とはいえ、「ゆるキャン△バージョン」というだけでゆるキャンファンとしては充分観る価値のある良いゆるキャン映画です。
原作とTVアニメ両方のファンです。
大人になったみんなの生活や関係、映画館で観るキャンプシーンや温泉、美味しそうなご飯、TVシリーズから引き続く最高のOPやED!ゆるキャンのキャラクターや雰囲気、言うなればゆるキャンのゆる部分が好きなファンには間違いなくおすすめできます。
トラブルは起こりますが、どうしようもない亀裂や嫌〜な人間なんかは出てこない、本当に癒される映画です。人間や人間関係・社会のちょっとした生っぽさ(生っぽさというか、こういうことあるよね〜……みたいな)がありつつも、全体としては明るく優しく、それでいてさっぱりとした雰囲気で、原作・TVアニメのゆるキャンの自分が好きなところがそのままでとても嬉しかったです。
大人になってもみんなが仲良くしているところを見られて幸せでした。
また、入場特典の13.5巻がとても面白いうえに結構しっかりした作り(触り心地も原作漫画の触り心地にかなり近くすべすべしていて気持ちいいです、もしかしたら同じ紙?)なので、数量限定なのがもったいないです。結構しっかりした作りだから数量限定なのかもしれませんが……。
パンフレットは豪華版を購入しましたが分厚い!情報盛り沢山ですごく良いパンフレットです。
以下は少し残念だった点です。
ゆるキャンのゆる部分が好きなファンにはおすすめだと書きましたが、ゆるキャンのキャン部分を期待したファンには少し肩透かしかもしれません。
満足感はあるのですが、せっかく映画館でやるのであればもっと効果音などが映える方向にして、キャンプの臨場感を楽しめる映画が観たかったな〜という気持ちと、キャンプの分量がもう少し欲しかった、という気持ちがあります。
あと原作ファンとしては、あfろ先生独特の(レンズを用いたような)画角での画を映画館の大きなスクリーンで観たかったです。特にあのかっこいいバキバキの広角での景色の画は映画館で観たら絶対最高だったと思うので……。画角はアニメシリーズ自体がゆるキャンのゆるさを前面に出すためにかなり抑えているとは思うので仕方ない部分ではありますし、充分綺麗な景色の画はありますが。
また、映画として1つ軸を立てなければならなかったからか今回メインとしてたてられている「キャンプ場を作る」というテーマについて。
面白いテーマではあるんですが、最初に書いた通りその過程が……どことな〜く……公共機関臭というか……教育ビデオぽいというか……。これは良くも悪くも、と言いますか、1つ1つは原作やTVシリーズからの良さ、でありながら全体としてみるとちょっとウーーンなバランスになっている、という印象がややあります。
それこそ元々ゆるさがテーマの作品ではあるんですが、それにしてもなんでしょう、展開や出てくるキャラクターが妙に脱臭されていると言いますか。
優しくて応援してくれる会社の上司やら、草刈り機なんかを貸してくれる近所の人、一人一人は良いんですが全体的にキャラクターとしての癖が抑え目だからか、私たちはみんなに支えてもらってます!やった〜!地方創生!みたいな感じがずーっと薄っすら……それら自体が悪いわけではないんですが……。
土器のあたりは日本で新しい施設作る時あるあるだな〜という感じで、公共機関の香りはありつつも面白かったです。
原作も過剰なキャラ付けをしないですし、周りの親切な人が助けてくれるみたいな展開はままありますが、120分に周りの人が助けてくれました展開が何度も何度もあるからこういう印象を受けてしまうんでしょうか。
リンさんの、キャンプ場作るぞ!→連載も決定!→フン、あいつは最近輝いてるな……みたいな流れなんかはちょっと進研ゼミぽさもありました、いや最近輝いてるな……だけではないので進研ゼミぽさとは違うかもしれませんけど……。
特に千明さんがプレゼンに使用した恵那さん手製PVは、いや公式な場に提出するものだから当たり前なんですがちょっとかしこまりすぎてて面白さすらありました。それだけみんなが大人になった、ということかもしれませんが。
とはいえ、全体として薄っすら……みたいな感じなので、一つ一つはほっこりする素敵な話で、総合的にはほのぼのとした良い映画だったと思います。