劇場公開日 2019年6月15日

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「【”蛍はいなくなった・・。” 17歳の少し生意気だが”何を遣りたいのか分からない”焦燥感と苛立ちを抱えた少女の姿を、複雑な両親との関係性を絡ませて描いた作品。小品だが、素敵な風合の作品である。】」さよなら、退屈なレオニー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”蛍はいなくなった・・。” 17歳の少し生意気だが”何を遣りたいのか分からない”焦燥感と苛立ちを抱えた少女の姿を、複雑な両親との関係性を絡ませて描いた作品。小品だが、素敵な風合の作品である。】

2021年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 主人公の焦燥感と苛立ちを抱えた17歳の女子高校生レオニーを演じたカレル・トロンブイの時に物憂げな、時に17歳らしい少女の表情が印象的な作品である。ー

<Caution 以下、内容に触れています。>

・レオニーは高校卒業を一か月後に控えながら、退屈な毎日を、退屈な小さな町で送っている。

・義理の父ポールの事は大嫌いで、そんな男と暮らすイロイロと煩い母の存在も、面倒だ。

・頭は良いのに、何をやっても、一カ月と続かないレオニー。

・そんなある日、レオニーは町のダイナーで、”デロリアンに乗って来たみたいな、髭男”と出会う。彼は、超絶テクを持つギターの先生ジェームズだった。
ー ”RUSH”の曲に、個人的に盛り上がる。ソレニシテモ、ジェームズの速弾きテクは凄い。ー

・レオニーは、彼にギターを習い始める。
だが、ジェームズはバンドを組んで、町を出る気は無いらしい。
そして、レオニーは町の野球場で夜のバイトも始める。
照明を付けたりラインを引いたりするだけのバイトだが・・。
ー さっさと、町を出たいレオニー。町に居続けるジェームズの不思議な関係。ー

・大好きな、実の父が一時的に戻ってくる。
父は、且つて町一番の工場の労働組合を取り仕切っていたが、交渉が上手く行かず、今は離れた土地に独り住んでいる。
義理の父とは、当時から関係性があったようだ・・。
ー レオニーが義理の父を嫌う理由が、やんわりと描かれる。ー

・だが、義理の父から
 ”彼には別の一面があって、町を出たんだ”
と言われ、父に尋ねると
”本当だ。人生の最大の過ちだ・・”と、思いがけない返事が返って来る。

・ジェームズの母が急逝し、二人だけで葬式に立ち会う姿。父の時には沢山の弔問客が来たのに・・、と呟くジェームズ。

<レオニーの一夏は、大きな出来事が起こる訳でもなく、この映画はレオニーの姿を淡々としたトーンで映し出す。
 だが、レオニーの中で何かが少しづつ変化していく様を、カレル・トロンブイが絶妙に演じている。
 ラストの、この映画の英題でもある”蛍はいなくなった・・。” を逆説的に描いた、レオニーが野球場のバイトを辞め、暗闇の中でキャッチボールをする人々の奥の林に仄かな灯りを纏いながら飛ぶ蛍の姿。
 レオニーは、未だ蛍の仄かな光ほどしか、自分を表現出来ていないのであろう。
 だが、小さな経験を重ねた一夏で、レオニーは自ら強い光を発する女性になって行くのであろうな、と思った作品である。>

NOBU