「サポートしてもらう勇気」靴ひも KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
サポートしてもらう勇気
公開規模も小さく、また見慣れないイスラエル映画という事もあって過度な期待はしていなかった事もあってかとても見応えがあり、非常に心温まる作品であり涙した。
予告で謳ってる通り主人公のガディは発達障害を持っている。母親の死をきっかけに幼少期に別れて以来の父親と過ごす事になる。
予告を見たとき、そしてこの作品の冒頭の段階では発達障害という部分にフォーカスを当てて作品が展開されていくのかなと思って心が見る準備を無意識にしてしまってる。
それを見事に裏切られそんな偏見を無意識内にしてしまってる事が恥ずかしくなってくる。
ガディはもちろん発達障害である為時には他者から特別なサポートを受ける事はある。それは作中でも幾度となく描かれていた。では健常者は人からサポートは受けないのか。決してそうではない。人は皆弱く1人では生きていけない。人からサポートを受ける事を恥じらいと思うから頑固になり一人で無理を強いても乗り越えようとしてしまう。
ガディの父であるルーベンもまた人に弱さや脆さを見せる事なく強く生きていこうと冒頭では描かれていた。
当初はガディがサポートを必要とする事を理解できず、またその姿を恥じていた。
しかし共に生活していくうえでガディをサポートする事が自然となる。
それはルーベンもまたガディに小さな事でも助けられる、サポートされる事もあったからであろう。
人はこうして他者からサポートされる事で自分もまた他者をサポートする事が当然になる映りゆきが自然に描かれていたのがこの作品のとても美しいところであった。
終盤はルーベンの腎臓が悪化しガディからの臓器移植で悩む姿が描かれていた。最終的にはルーベンはガディからの臓器移植を望み、ガディからサポート受ける勇気をもたらしたが手術の際に感染症を起こしてしまいルーベンは亡くなってしまう。
この作品を通して感じるのは助け合い、サポートし合う事の大切さだ。
完璧な人なんてのは中々いない。弱くて、そして脆くて当然なのだ。
もちろん弱い事を盾に何事からも逃げたり人に甘え過ぎるのは良くない。
ただ時には人から助けを請う、サポートを求める勇気も必要な事がこの作品で感じさせてもらった。
その勇気を得るには人に優しく、そして困ってる人、弱ってる人を助け、サポートする事で得られるのであろう。
とてもいい作品に出会う事ができた。