劇場公開日 2019年8月10日

  • 予告編を見る

「グレイト・ヴァイブ!」カーマイン・ストリート・ギター Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5グレイト・ヴァイブ!

2019年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

NYの築200年以上の建築物の廃材(よって材料費はタダ)を、ギターとして蘇らせることに情熱を燃やす職人リックの店の物語。「42 Carmine Street」でググれば 、ストリートビューで見ることができるが、平凡な通りに面した小さな店に見える。

アコースティック・ギターも多数あるようだが、映画では話はエレキに集中する。さすがにネック部分は普通にきれいに仕上げてあるが、ボディはまさに廃材というものも散見する。材の継ぎ目あり、節や模様あり、表面にはキズや凹凸あり・・・。
ピックアップがたった一つのものもあった。また、弟子のシンディは、元グラフィックアーティストのようで、焦がして絵を焼き付けるなど、自由なギターが手作りで生まれている店だ。

こういうギターは、エフェクトを抑えて、生の音をそのまま増幅し、いかにも材木で反響・共鳴しているといった感じの響きを堪能した方が良いように思われた。
音響学的には、決して優等生ではない異端児だろうが、要は、誰がどう弾くかである。名人が弾けば、独特の味わいを持つ「Great Vibration」を聞かせるのだ。

実際の制作過程はあまり映されず(ちょっと期待外れだった)、(事情通の人は別として)一般の鑑賞者には80分の長さは必要ない感じなので減点したが、観ていて、いや、聴いていて至福の時間であった。

Imperator