テルアビブ・オン・ファイアのレビュー・感想・評価
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消された♥️ 愛のないAIにすみません!
予想通り、リーチ一発で消された。ものの5秒。
消されるのは、この映画の真骨頂だと笑える。
ものの5秒って事は愛のないAIの仕業。NGWORDの入力さ。
まぁ、熱くなるような映画しゃないから。
この映画見てると日本映画の製作過程を見ているようだ。と留めて置けば良かろう。
こんな出鱈目な映画の作り方してるの?なんて彼等を見下してはいけない。日本映画の方がこれよりも凄いと思うし、オリジナルが経費節減の為にライトノベルとか漫画だからね。
それでも、悪くはなかろうが。
名作と言って『なんとか賞』まで授ける。さて。
ドラマに賭ける「和平」への継続的取り組み
パレスチナ人の脚本家(実は言語指導スタッフ)が、検問所のイスラエル軍司令官に人気ドラマの脚本をアドバイスされる…。こんなあらすじで、食いつかない訳がない!
実際のところ、期待通り、というかそれ以上に面白かった!特にオチが良い。完璧に練られたオチがあるから、全体が一貫しているのだ。
オチの解説をする前に、パレスチナ問題について触れようかと思ったが、「そもそも」を話し始めるには紀元前まで飛ぶ必要がある。とても4000文字に収まらねぇ、ので止めておく。とりあえず、イスラエルにはパレスチナ人の自治区があるよ!という事と、今も絶賛紛争中だよ!という事がわかっていれば大丈夫、なハズ。
ドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」はパレスチナ自治区で制作されている、ゴリゴリのアラブ抗戦ドラマだ。
ゴリゴリ、と書いたけど、女スパイとイスラエル将軍とアラブ活動家の三角関係メロドラマでもある。昼メロ感すごい。
当初の脚本家は、イスラエル将軍の事は「利用されるだけの感じ悪い男」のつもりだったわけだが、映画「テルアビブ・オン・ファイア」主人公・サラームの言語指導がきっかけで脚本を降りる事になる。
それと前後して、サラームは検問所の軍人・アッシに台本を取り上げられ、「俺の意見をドラマに入れろ」と無理難題を吹っ掛けられる。
実はアッシの奥さん(勿論イスラエルのユダヤ人)もドラマに夢中。反ユダヤだ!とアッシが批判しても「ロマンスのわからないアホは黙っとけ」扱い。
毎日検問所に出勤して、イスラエルの為に貢献しているというのに、愛する妻には邪険に扱われ、ちょっと可哀想。
サラームはサラームで、アッシには見栄を張ったものの脚本など書いたことがない。むしろ5分と座ってもいられない。
いつまでもピリッとしない・就職もしてないサラームは恋人にフラれて久しいが、彼女に未練タラタラ。
そう、この映画はごくごく普通の人々が、ごくごく普通の悩みに翻弄され、自分たちの幸せを模索するコミカルなドラマなのである。場所はパレスチナ自治区とエルサレムの間だけどな!
ベースになっているのは、あくまでもサラームとアッシで、ドラマが巡り会わせた奇妙な絆。そこへパレスチナとイスラエル、過去のトラウマからの脱却、愛する人に認めて貰いたいという思いが乗っかる。
ドラマのエンディングについて、将軍とスパイの結婚を「オスロ合意」に見立てるのは、パレスチナとイスラエルの平和交渉という希望のエンディングだ。「リアリティ不足で視聴者に受けない」と一蹴されるあたりが、この問題のややこしさを表現していて切ない。
スパイが愛よりも任務を選ぶエンディングは「マルタの鷹」が引き合いに出され、サラームの叔父さんは「ハリウッドからパクってやった」と得意げだが、サラームには否定される。
これは「アメリカのやり方ではこの問題は解決しない」という、当事者からのメッセージでもある。
サラームが伝統料理であるフムスを苦手としているのは、インティファーダの頃、家から一歩も出られず、息を潜めてじっとしながら攻撃が止むのを耐えていた時に、食料が缶詰のフムスしか無かったからだし、何ならじっとしているのが苦手なのもその影響だろう。
アッシがドラマに口を挟むのは、家で奥さんに相手をして貰いたいからだし、アッシ自身は検問の仕事を「やりたくない」と言っていることからもわかるが、誰だって他人から憎まれたり疎まれたりするのは不快。
毎日パレスチナ人から「偉そうなイスラエル軍」として見られる生活は、国家を持ち支配から脱却するというユダヤ人の願望を叶えてはいても、少なくともアッシの幸せには結びついていない。
脚本に迷うサラームに対して、アッシがしたアドバイスは「愛し合う二人は何をする?」だった。「キスとかハグとか?」と答えるサラームに、「違う。話し合うんだ」と。
だからサラームはアッシと話し合う事にする。
ドラマのエンディングについて。アッシが「本当に」望んでいることについて。イスラエル人として、ではなくアッシという一人の人間として。
愛し合っているからではなく、愛し合う事を始めるために、話し合う。
二人が選んだエンディングは、「アメリカのやり方」を阻止し、安易な「オスロ合意」を阻止し、「テルアビブ・オン・ファイア」のシーズン2突入(主役はアッシ)である。
奥さんビックリ、アッシ大満足、新人女優抜擢、制作チーム続投の大団円(?)だ。
単なる反ユダヤから、キャストにユダヤ人を加えることで名実共に「(イスラエルに住む)俺たちのドラマ」に変革。継続的に取り組まなくてはならない、という「To Be Continued」のメッセージ。新しい世代がドラマを作るという気概。
そして、ドラマが作られている限り、パレスチナは永遠に残る。何たってパレスチナ自治区で作ってるからね!
歴史に残る、最高のエンディングです。
分離壁
ブロードウェイと銃弾を思わせるような構図。しかし、舞台はパレスチナ。イスラエル、パレスチナの奇妙な心理的歩み寄りが描かれるが、どうせ最後は自爆テロのような悲劇的な結末かなと冷めて見ていたら、それを劇中劇で仕込んできて、そんなのじゃあダメだという若手パレスチナ人、じゃあどうするんだ?と思ったら、何ともハッキリせぬ所に着地し、未来に託す。
微妙な着地感。しかし、これも現在の限界表現なのだろう。本当に作るかな?シーズン2。少なくとも現実は終わることはない。世界は延々と両者の相克を見てきている。
よかった
パレスチナを舞台にしたコメディがめずらしい。イスラエルの検問をしている軍人とパレスチナ人の主人公に立場を超えた友情めいたものが生じているのがいい。主人公はシナリオのヒントを軍人にもらっていて、すごく当てにしている。彼のアイディアがずばずばはまり、軍人の彼にもかなりの才能があるのではないだろうか。
ただ、演出がちょっと淡白で、わざとらしくなくていいのかもしれないけど、もっと涙を誘ってくれたり、びっくりさせてくれてもいいように思う。「シナリオは自分の一存で決められない」と言えば済む問題をなおざりにしている。
深刻な社会問題ほど、笑いを交えて語れるといい
パレスチナ人、イスラエル人、どちらにも大人気のTVドラマ『テルアビブ・オン・ファイア』。主役のパレスチナ人女スパイの恋のお相手は、同志の活動家と、イスラエル軍の将軍。どちらの陣営も勝手な期待を抱いてドラマの行く末を見守る中、製作陣やスポンサー、女優の我が儘も加わって、ドラマの脚本家はてんやわんや。やがて選んだ物語の収束とは…。
世界で最もセンシティブにして解決不可能と言われるパレスチナ・イスラエル問題を、このように笑い混じりに取り上げる事ができるとは!
人種、歴史、宗教、各々の事情が複雑に絡み合った両国の感情を、ドラマの内容というワンクッションを置いて、適度な距離感で表現。ドラマの台詞の端々やキャラクターの持つ背景、民族を越えた恋愛要素で、互いの繊細な思いを浮かび上がらせた。
また、製作陣や視聴者の、戦争体験や民族感情から来る各々の意向にドラマの行く末が振り回される様子に、不透明な中東情勢を重ね合わせ、滑稽な中にも深刻な現状を伺わされる。
「-闘いは続く-」
ドラマはまだ終わらない。両国のいざこざもまた然り。
扱うテーマは重く複雑だが、それとは別に、フラフラと人生指針の定まらない若者が、脚本家としての技量や責任感、片想いの女性との関係を育てていく、スタンダードな成長物語としても、肩肘張らずに楽しめる。
民族間対立を背景にゲラゲラ笑わす秀作
パレスチナの人気ソープドラマ『テルアビブ・オン・ファイア』。
第三次中東戦争前夜を舞台にした、パレスチナ人女性スパイを主人公にした物語で、パレスチナ人の活動家とイスラエル人将校との間で揺れ動く波乱万丈の恋愛劇。
その製作現場で働き始めたパレスチナ人青年サラーム(カイス・ナシェフ)。
プロデューサーである伯父のコネで、ヘブライ語のチェックという役割。
けれども、毎日通る検問所で、イスラエル軍の検問所主任軍人のアッシ(ヤニブ・ビトン)から、事もあろうか脚本家と間違えられしまう・・・
といったところからはじまる物語で、ひょんなことから脚本を書く羽目になったサラームはドラマと同じく、イスラエルとパレスチナの間で板挟みになり、そこへ心を寄せる女性との恋愛が絡み・・・と展開する。
イスラエル軍人アッシとパレスチナのドラマ制作陣との間で、件のドラマは先が読めない展開となっていく・・・
と、民族問題を背景にして、『ラジヲの時間』ばりのコメディが展開されます。
とにかく、面白い。
ドラマのラストがどうなるか、サラームの恋愛がどうなるか、その前にサラームの生命が無事なのか、と関心事が目白押し。
最後まで、どうなるのかのハラハラと、ハハハハハ、ゲラゲラが続きます。
ルクセンブルク、 フランス、イスラエル、ベルギーの合作だが、米国製コメディ以上に洗練された感じ。
社会問題に対する意識もかなり感じるけれど、背景に疎くとも、面白く観れると思います。
背景を知っていれば、さらに面白いことでしょう。
なお、ドラマの主人公を演じるのは『灼熱の魂』のルブナ・アザバル。
どこかでみた女優さんだと思っていました。
見事なパロディ作品
イスラエルとパレスチナの長年に及ぶ関係(情勢)の不安定で危うい関係を、この作品に
よって見事にパロディ化しているが、観る前に頭の中にこの2つの国の地理的な知識が必要で
あり、そうすれば、この作品をもっと面白く、滑稽に見ることが出来たと、残念で
ならない。作品の流れは良く、民族料理「(期限切れの)フムス」が出てきたのも興味
深い。ラストは、作品の流れでは、サラームはアッシと組んで脚本家になればとも思ったが、ラストネタは、個人的に良かったし、見事に笑ってしまった。 実際、検問所ではどうなのか。現実にはどうであってもいいのだが、そんなことを考えてしまうのは私の生真面目な性格なのかもしれない。(サラームの助言もあったり)TOFへのいろんな人の自分勝手な意見もあったが、最終的にアッシ自身が書き上げた作品の出来栄えが、結局素晴らしかったので、脚本家としての才能はある。続編は?いよいよサラーム主演のラヴストーリーを発表か(笑)
パリ、ローマ、東京
「パリ、ローマ、東京。どこでも行けるんだ」
「でも、ここで育って、家族もいて、仕事もある。ここにいたいの」
「じゃあ、ここにいよう」
サラームが、マリアムに向けて練りに練った最大、最高のシナリオだ。
占領も検問所も嫌なのだ。
当たり前のことだ。
しかし、そんなことさえも叶えることが出来ない。
背景に複雑で、先の見通せない政治的・宗教的な問題を抱えながら、本質的なところをコメディタッチに見せたユニークな秀作だと思う。
改めて色々考えさせられた。
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