「食を通して2国間をつなぐ物語」家族のレシピ makanmakanさんの映画レビュー(感想・評価)
食を通して2国間をつなぐ物語
2016年は日本とシンガポールの国交樹立50周年を迎えてその記念事業が沢山企画されました。この「家族のレシピ」もそのひとつです。
大半の日本人にとってシンガポールはマリーナベイサンズ、マーライオン像、セントーサ島等の観光地やチリクラブとかチキンライス等のグルメを楽しむ場所、という東南アジアの国としか認識されていないでしょう。
それはそれで良いのですが、日本とシンガポールの間には暗い過去があり、シンガポールの人達にとってはいつまでも忘れてはいけない歴史上の出来事なのです。
1942年 2月 15日は山下将軍率いる日本軍がマレーシアを南下しジョホール水道を渡ってシンガポールに上陸してフォード工場で英軍のパーシバル将軍に降伏文書に書名させた日。
2017年2月に旧フォード工場記念館(日本による占領期間の悲惨な時代の記録を展示)の新装オープンに伴い「Shonan Gallery」と改名した事に猛反発したシンガポール国民。なぜなら日本はシンガポールを「昭南島」と変え日本語を強制していたりと暗黒の時代だったから。
このShonan Gallery事件は当時のシンガポールでは連日、新聞やテレビで取り上げられ、若い世代に過去の歴史が薄れているのが目の当たりとなり、Total Defense Dayの重要性を再認識される出来事だった。
この映画はこんな時代背景が流れていて、日本とシンガポールの狭間に悩む若者の心情が、スクリーンを見つめる人達の心に染み込んで来て、涙が止まらなくなる、という映画です。私には。
私は昨年3月にシンガポールでも「Ramen Teh」を観ましたが、銀座で観た「家族のレシピ」はタイトルに合わせたのか、料理を食べるシーンや調理するシーンを長めに使っていました。ストーリーの流れも若干変えてあり、日本版「家族のレシピ」のほうが解りやすい展開に変えてありました。