「生まわてきてくわてありがとう」家族のレシピ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
生まわてきてくわてありがとう
日本とシンガポールの家族間の切なくも温かい関係性と愛情をメインに、惨い戦争の爪痕や料理人の進む道を付けあわせて調理した、ベタだけど優しくて熱々のとても美味しい映画。
数々出てくる料理を食べた後の表情がみんなかわいい。
美味しい味は国境も言葉も歴史も軽々飛び越えて人を繋いでくれるもの。
それに思い入れがあれば尚更。
おばあちゃんが笑顔になるたびに胸震えて泣いちゃうよ…。
ただひたすらに許せなくて悲しくて、意地の解き方が分からなかったんだろうな。
「叔父さんみたいに古いニンニク」だとか「私はバカです」の連呼だとか、所々に入ったコミカルな要素が結構笑えて面白い。
ウィー叔父さんのキャラが最高すぎる。
お調子者だって言われてたのも納得。
食え食えと皿にこんもり盛るのほんと可愛くて好き。
やたらとフィーチャーされる美樹が若干謎な立ち位置だった。
シンガポールでの人脈のキッカケとしてかなり重要な人物なので本当に有難いのだけど、たまに比喩を加えた「私良いこと言ってます」みたいなセリフが歯に浮いてノイズになっていた
真人の母親を投影する先としても申し分ない存在なのでもう少し人間味のあるキャラなら良かったのに。
全体的に女性登場人物の女神感があまり好きではない。
本筋が良いのでオールオッケーだけど、展開が早く置き去りにされた点があることとちょっと鈍臭い演出は流石に気になった。
昔の映像がフィルム風になっているのとかなんか古いし、シンガポールのPRムービー的な映像がもう少し映画的だったらなと少し思う。
その鈍臭さも相まってなかなか良い雰囲気だったとも考えられるが。
しかしお腹の減る映画だった。
鑑賞後に肉骨茶もといラーメン・テーが食べたかったのに近辺にそのような店が無く、家でベトナムフォーを作って食べた。
まあまあ美味しかったけど当然コレジャナイ感が大きい。
今すぐ真人もとい斎藤工の作るラーメン・テーを頂きたい。