「本物の日本人の心と姿が凝縮された、美しすぎる作品」居眠り磐音 お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
本物の日本人の心と姿が凝縮された、美しすぎる作品
剣の達人でありながら、ほんとうに穏やかな主人公を演じる松坂桃李。
殺陣の迫力は、見事のひとことに尽きます。
にもかかわらず、限りなく心優しい主人公。
ギャップが凄いのに、観ていてこんなギャップなど当たり前のことと、いつしか感じてしまうのが、演技の力であり、脚本の力であり、つまり映画の力なのでしょうね。
これだけ人が死に、陰謀が飛び交うお話であるにもかかわらず、実はお話のメインテーマが純愛にあるという点など、恐れ入りましたとしか言えません。
このような建て付けの外国映画だと、待ち続けてきただけの許嫁を演じる芳根京子は、きっとどこかに置き去りにされる損な役回りのはずですが、どっこい大きな大きな人間の哀しさを演じきっています。
そんな主人公に片思いする木村文乃の演技の凄さと哀しさも必見です。
江戸時代の武士道の極意書「葉隠」に、「恋の極意は忍ぶ恋にある。一生、相手を忍んで、思い死にすることこそが恋の本意だ」という意味の有名な文章がありますが、この葉隠の言葉が鮮やかに蘇る、そんな珠玉の作品でした。
ぜひとも外国で、字幕で公開してほしいと思います。
この日本精神の真髄に対する外国人の反応を見てみたいのです。
まったく理解できないと彼らは言うのだろうか。
でも、日本人であれば誰一人として、これほど素晴しい作品に感動しないはずがないのですけどね。
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