劇場公開日 2019年5月17日

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「純正チャンバラ!」居眠り磐音 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0純正チャンバラ!

2019年6月2日
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鑑賞方法:映画館

この物語を「散り椿」の映像クオリティで撮れてたら…なんて思ったりして。

昔、「時代劇役者」と言われる俳優が存在して、チャンバラは専門の俳優でなければできないのだと、小さい頃親が言っていた。
それくらい殺陣(たて)が難しいと言っているのだが、最近の俳優は凄いなと思う。
松坂桃李は時代劇はじめてだって?

51巻にもおよぶ人気時代小説シリーズが原作。
国許である九州の架空の藩を脱藩し、江戸で今津屋の後見になるきっかけの事件を描いている。

序盤で磐音と琴平(柄本佑)の剣技の違いを見せたうえで、あれよあれよという間に突入する二人の死闘は実に悲痛だ。
そもそも同じ道場で同じ流派を学んだのだとすると、なぜあんなにスタイルが違うのか?
ビジュアルとしては効果があるが、居眠り剣法の威力はよく分からなかった。

一方、事件のクライマックスとなる敵方浪人天童(浪岡一喜)との闘いは、天童の危険性が殆ど説明されていないので盛り上がりにやや欠ける。
ただ、説明がなくても非道な悪人だと想像させるのは、浪岡一喜の映画やテレビドラマでの徹底した仕事ぶりによるものだろう。

柄本明演じる阿波屋の奇っ怪さは、際立つ。
ノリノリで演じたのだろうと想像する。

結局、国許の事件がチラカシっ放し。
家老(奥田瑛二←ピエール瀧から交代!)の陰謀が描かれず、中途半端なまま。
これも、奥田瑛二だから説明がなくても陰謀を感じさせている。サスガとしか言いようがない。
奈緒(芳根京子)の花魁も唐突すぎないか。
奈緒は美人ゆえに数奇な運命をたどるのだから、もう少し周囲が美人扱いしている場面とかを挿入してもよかったのではないだろうか。
芳根京子の花魁道中は、シーンとしては見せ場なので、少し残念な気がした。

磐音という男、悲惨な経験をして故郷を出て、江戸にいながら恩師に挨拶にも出向かずストイックに暮らしている割には、身の上を周囲にちゃんと話しちゃっうあたり、暗すぎない現代風の時代劇ヒーローだ。

木村文乃と中村梅雀の親子、剣の師匠佐々木蔵之介のほのぼの感も良かった。

とにかく、粒揃いの役者たちに支えられた、良心的なチャンバラ映画だ。
かつて、チャンバラヒーロー映画はシリーズが当たり前だった。
原作を追って続編シリーズ化を期待したい。

kazz
kossyさんのコメント
2020年3月25日

共感&コメントありがとうございます!
みなさんも続編希望されてるみたいですね~
さすがに51巻もある原作を今から読むのはつらいですが、続編ができれば必ず見に行きたいと思っています。
wikiを覗いてみたら、今後の展開がかなりネタバレ気味だったのでショックでした(汗)

kossy