「福田にヲタクは難しいが、ヲタクに人生の楽しみは難しくない」ヲタクに恋は難しい 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
福田にヲタクは難しいが、ヲタクに人生の楽しみは難しくない
原作も未読、アニメも未見。
人気を博した同名Web漫画を福田雄一監督が実写映画化。
かなり賛否両論分かれているようだが、それも分かる気がする。
隠れ腐女子のOL、成海。
転職先で、幼馴染みのゲーヲタの宏崇と再会。
ジャンルは違うが、同じヲタク同士。宏崇から提案され、付き合う事になるのだが、まさにタイトル通り、ヲタクに恋は難しかった…!
まず、賛。
『女子ーズ』の高畑充希と『斉木楠雄のψ難』の山﨑賢人。共に福田作品に出演経験ある主演2人。
福田監督は扱いが分かっているのか、『斉木~』同様、ノーリアクションの山﨑。本作でも仕事は出来るが、廃人レベルの無表情。が、あるシーンで格好付けて○茶を飲んだ時のリアクションはウケた。
しかし何と言っても本作は、高畑充希を見る為の作品だろう。
クルクル変わる表情、爆笑必至のナイスリアクションと台詞回し、歌も歌って、ダンスも踊って、魅力超爆発のきゃわたんさ!
彼女のコメディエンヌぶりは同世代でも随一ではなかろうか。
超早口でヲタ仲間とヲタ語炸裂のヲタトーク。マジの腐女子にしか見えん…!
高畑充希、す、凄まじい…!
(よって、採点3の内、★一つは丸々彼女へ!)
賀来賢人、今田美桜、菜々緒、斎藤工らもヲタダンスしたり、コスプレしたり、タップダンスしたり。
中でも、宏崇のクールな先輩役の菜々緒と成海の怖~い先輩役の斎藤工の役所がユニーク。
あ、勿論、常連のムロツヨシと佐藤二朗も出てます。
原作には無いミュージカル要素。本作はミュージカル映画!?…と思うほど、ふんだんに盛り込まれている。
ナンバーは全てオリジナル。ライトやコミカルなど曲調もバリエーション豊かで、特に高畑充希が切なく歌う「星よ教えて」は思わず聞き入ってしまったほど。高畑充希の歌唱力やダンスはやはり素晴らしい。
にしても、ED曲…。確信犯的にあの曲のパクり。まあ、ミュージカル作曲があの人だからね。
ヲタ厳禁の初デート。
互いの趣味を理解しようと努力。
相手の趣味を含めて相手を思いやる事が出来るか。
ヲタ同士だが、幼馴染みから始まった不器用な恋の行方。
一応はピュアで可愛らしい王道のラブコメになっている。
知ってるアニメやゲームもあちこちに。
ヲタあり、ラブあり、笑いあり、歌ありダンスありの、見ればハッピームービー。
否。
ちと調べてみたが、原作からかなり改変ようだ。始まりはほぼ同じだが、2人の先輩の関わり方やその後の展開が大分違う。
特に否意見が多いのが、映画オリジナルのミュージカル要素。
原作読んでない者としては高畑充希の歌とダンスを見れればそれでいいのだが、確かにミュージカル・シーンが多すぎる。本編114分の内、半分まではないが、1/3以上はあったんじゃないかな。
故に、話はスカスカで、ハワイ展開や終わり方も中途半端な気がした。
それに、これはあくまで個人的見解だが…、
不器用な恋の姿を通して、好きな事に夢中になっているヲタクを明るく描いている…一見は。
しかし、ちとウザいニコ動画風や仲間とのヲタ語炸裂のヲタトーク・シーンを見ていると、笑いに走っている感じを受けた。ヲタクとは言え、あんなにヲタ語だらけで話すのか…? よくある地方の人が方言丸出しで話すあれと同じものを感じた。
何だか福田監督はヲタクへの愛情より、それこそ宏崇のように無表情。ミュージカルや笑いやラブの方に重点置き、結局はヲタクに偏見。
福田監督にヲタクは難しかったようだ。
ヲタク文化もすっかり根付いた昨今。
それでも、まだまだ嘲笑や偏見を感じる。
そもそもヲタクがアブナイ奴と思われるきっかけとなったのは、1988年~1989年に起きた東京・埼玉連続幼女殺人事件の犯人がゲームや漫画やアニメ好き/ホラーマニアで、そのせいで世間一般的にヘンなイメージが付いてしまった為。コイツのせい!
ゲームや漫画やアニメだって立派な趣味。ホラー映画愛好家だって大勢いる。その全員がアブナイ奴か? 否!断じて無い!
今アニメイトなど行くと、若い女の子が沢山。完全に好きな事なのだ。
自分も以前仲良くなった女の子が、アニメがきっかけ。(ちなみに、『けいおん!』。ありがとう、『けいおん!』)
自分は言わば映画ヲタク。よく周りからまた映画ばかり見て…と言われるが、自分の唯一誇れる事だと思っている。
ゲームでも漫画でもアニメでも、映画でも、鉄道でも、スポーツでも、歌でも、その他沢山。
ヲタクは好きな事を極めたプロフェッショナル、専門家、何より愛たっぷり。
ヲタクに人生の楽しみは難しくない!