「原作読破した上で試聴した人の感想」ヲタクに恋は難しい とろっぽーんさんの映画レビュー(感想・評価)
原作読破した上で試聴した人の感想
この映画はオタクであるほどそして原作に愛着がある人ほど違和感が拭えない映画です。
主人公はBL(少年愛)が好きなオタクであり自分の趣味にエンジョイしている一方、タイトル表記通り恋愛に難しさを感じています。しかしそれは恋人ができないという悩みではなく、オタクはキモいから恋人になりたくないが一般人と趣味を隠し通して付き合うのも息苦しさをを感じる悩みです。
そんな中偶然再開した幼なじみのゲームオタクの宏嵩(山崎賢人)に告白され恋人関係になりますが、過去主人公が元彼にオタバレし、会社にそのことが伝わり居場所がなくなったトラウマが原因でオタクということをどうしても隠そうと距離を置いてしまう微妙な関係や、宏高がジャンル違いのオタクである彼女の趣味を理解しようと歩み寄ろうとして微妙に失敗するが主人公に歩み寄りの大切さを気づかせる様子をミュージカルを加え表現していました。
心情の変化を役者さんの素晴らしい歌声で表現するのは面白いと感じましたし、最終的につけた決着は無難な選択肢でしたが綺麗に収まったので良かったと思います。
マイナスに感じた点は最初に述べたようにオタクであればあるほど原作愛が強ければ強いほど違和感がどうしても鼻につく点です。
例えば主人公らオタクが使う用語は語法が微妙に違ったり古臭い言葉が少し混じっているため、実際Twitterなどでオタク活動している人たちは首を傾げてしまいます。また、主人公やその周りがディープなオタクである設定なはずなのに部屋にあるオタグッズは有名なものをとりあえず並べた感じにしか見えずオタクの部屋として説得感のない感じがしました。主人公の趣味は理解してほしいが相手の趣味を理解しようとは終盤までしない様子には苛立ちを覚えました。(これは終盤考え方を改めることを強く印象付けたいためなのでしょうが、不快度が高すぎなきもしました)
また原作で主人公カップルと同じくらい登場する花子(菜々緒)と樺谷(斎藤工)のカップルが後半まで登場せず、映画オリジナルキャラに出番を取られがちで結局最初から最後まで喧嘩したままの状態で映画が終わってしまい、ビジュアルの再現は菜々緒さんを筆頭に高かったのにこの点はとても残念に感じました。
また、原作の良さと福田監督のギャグとミュージカルはそれぞれが良いはずなのに方向性が違うためか調和がとれずとっ散らかった印象がある点もマイナスです。あと露骨に第二部の伏線を残して終わるのはどうかと思いました。
結果評価は5点中4弱〜1.5点くらいかなと思います。オタクや原作について知らなければ知らないほど鼻につく点を流せると思うのでギャグありの変わった恋愛ムービーとして観れると思います。逆にオタクや原作知っていれば知っているほど違和感や薄っぺらさにどうしても目につくので点は低くなりがちかなと思います。特にこの2つに愛着やらプライドやらなんやら持ってる場合怒りが湧くかもしれません。