グリーンブックのレビュー・感想・評価
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深い笑い
差別意識は、ぼくにもある。
例えば、黒人の男性と握手をしたとする。その時、どんな感じだろうか?それは差別というより、違和感といったほうがいいかもしれない。だけど、その違和感が差別につながっているともいえるだろう。
この映画、初めのうちはトニーの差別意識からはじまった。黒人労働者にサンキューの意味で飲んでもらったコップをトニーは汚いものだとしてゴミ箱に捨てた。そんな夫の姿に少し呆れた様に、でも、非難せずに元の位置に返した妻がいた。そんなトニーが黒人ピアニストと2ヶ月に渡って演奏旅行する。その間、彼はどう変わったのか?変わるのか?がこの映画のテーマでもあった。
例えば、トニーを雇ったドクターシャーリー。上流階級の観客の前で演奏するのが職業になっていることに対して、トニーは毒づく。「あんたはブラックなのか?それともセレブになりたいのか?」それに対して、どっちににもなれない自分の存在に悩んでいるシャーリーがいた。
トニー自身も自分の差別意識に疑問を持ち始める。
演奏を行ってもらうVIPのシャーリーに黒人というだけで、お客のいるテーブルで食事することは許されない。トニーそんなことがあるか!と怒る。私が言ってるんじゃない。レストランのしきたり、決まりなんです、と。レストランの支配人は言う。差別を受ける相手の立場に立つことで、こんなことはいかん、あってはならないことだと気づき始めるのだ。
今までの世界と違った人との出会いでお互いに新しい自分に出会う。新しい世界と出会う。そんなことができるのも違う文化と触れ合ったからだろう。出会いというものは刺激がある。違和感といってもいいかもしれない。そのあと、どう感じ、どう整理し、どう位置づけるのか。それが教育になんじゃないかと思う。ヘイトの方に行くのか?多様性の方向性に行くのか?
差別は本人の意志よりも、その場のしきたり、ならわし、きまりに左右される。雰囲気とか、場の空気といった漠然としたものに知らず知らずによってしまうのではではないか。
そういえば、いま勤めている保育園では「差別」は全くといっていいほどない。子供達は新しい人との出会いを楽しむ。新しい先生や新しい園児は大変な人気者になる。その違和感を楽しむ園児たちの姿がそこにはある。これは一つの答えじゃないだろうか?
この映画、最後のクリスマスの日、素敵な出会いがあった。
トニーの妻とシャーリーの抱擁。
妻はすごく視野の広い夫になって帰ってきたことへの感謝と、シャーリーは2ヶ月の間、自分に与えてくれたトニーの深い愛情への感謝を込めて。
それはクリスマスの夜にふさわしい光景だった。
万人向け、分かりやすいですが。
その時代のアメリカで いかにマイノリティが窮屈な思いをして活きていたか、が描かれています。今の大統領の政策へのハリウッドの意思表示というか、本当にあったのかどうか疑わしい?LGBTの問題も絡めて。中途、二人を助けるのが民主党の某政治家なのも意味深ですね。
映画そのものは単純に愉しめるロードムービーです。脚本も及第点で・・・とはいえ、脚本賞をとるほどか、は疑問ですが(笑)。主役の二人の熱演もあり、丁々発止、二人の会話のリズムにも笑ってしまいました。
ただし 黒人ミュージシャンへの扱いのひどさは ちょうど60年代初めに来日したアートブレーキーなどのジャズミュージシャンがさんざん語ってきたことですし、一方でアメリカのショービジネス=ハリウッドも含めて・・・いかにイタリア移民が大きな力を持ってきたか、も有名な話です。この映画のラスト、クリスマスパーティーで流れてたのが やはりイタリア移民出のフランクシナトラですしね。
正直に云えば・・・この程度でアカデミー作品賞か、という憂いもあります。アカデミー賞候補の選出こそ、マイノリティへの差別だ、と喝破されたのが近日近年だったことも勘案したら。
たとえば 同じロードムービーでアカデミー作品賞を取った【真夜中のカーボーイ】とはとても比肩できないです。見終わった後の響き方が天と地ほど違います。
これは決して 映画少年だったその昔に名画座で独り心を震わせてみた頃と比べて 還暦近い今では心の琴線がさび付いてるわけではない、と思いますが。
複雑
日本人としては、ある意味単純に考えやすい映画だ。
かつてのアメリカの理不尽な人種差別に憤りを感じ、
その突破口となった2人の友情に胸を熱くする。
自らもイタリアからの移民でありながら黒人にマウントする主人公が、
雇用主と理解しあっていく姿には表面的には感動する。
一方、上流階級であるように見える黒人の主人公を慮る時、
その広がる深い闇に涙を禁じ得ない。
いい映画だったんだろうな、と思う。
この手の映画は数多い。
上記のように日本人としては単純な感想で済む。
当のアメリカ人はどのような感情で観ているのだろう。
トランプの如き大統領を誕生させておきながら、アカデミー賞?
素直に感動するだけでは済まず、複雑な感情が残る。
俳優さんの演技を抜いたら普通
主演ふたりがメッッッッッチャ良かった。
アリータも最近見たのでそれでペラッペラの悪役を演じたマハーシャラアリと同一人物かと思わせるほど、教養があり思慮深く、背景に色々なものを背負ったドクター・シャーリーの演技が素晴らしかった。
そしてキャストを見るまで全然気付かんくらいゴツいおっさんになったヴィゴに衝撃を受けた…
始めはエー!って感じだったけどトニーの善人さがヴィゴの笑顔に滲んでてやっぱヴィゴめっちゃ好きやわ〜〜演技上手いわ〜〜ってなりました。
アカデミー賞の時のヴィゴは知ってるヴィゴになってましたね。
それ以外はあんまり印象に残らなかったな。
ちょいちょい面白いシーンもあったしいい映画だったな〜って感じなんだけど1週間したら忘れそう。
すごくサラッとしてて見やすかった。
最後のクリスマスのシーンがほんわかして良かったです。
骨の投げ捨て方
ヒラリと華麗に捨てる。後部座席でウトウトしてもお洒落な出で立ちを崩さない。酒に酔ったり、この映画の肝にあたる独白などでそれは崩れる。崩れるときのサマにならない居心地の悪さ。マハーシャルアリの真骨頂、見事である。
群れから外れた人の孤独は人種のみならず普遍的なテーマ。活躍する女性にも置き換えることはできる。この映画において、異種から仕打ちについては明確な行動として描かれるが、同種からの行動は控えめ。しかし、無言の眼差しは浴び、拒絶感に戸惑う。他方、異種は、興味は持つが、所詮異種としか認知しない。バーにて同種と和解したのかもしれない。しかし、ラストで、彼は同種への回帰ではなく、種の壁を超越する。
フライドチキンのくだりはこの映画のテーマを汲み取る名シーンでもある。よくできた本であるし、コメディ要素も多い。最後に連発する伏線の回収は少し技巧的かもしれないが。
観て良かった!
満点付けるのはどうかと…
テーマは重そうだが…
「人生は単純じゃない」
アカデミー賞に不満だったが
魅力ある演者たちに拍手
なんで星、5つしかつけられないの?
ボラプ2回目の鑑賞後、あまり期待しないで観た映画だったのに…。
笑いあり、涙ありのロードムービー、しかもバディもの、大好物のジャンルでした。主役は用心棒トニー役のビゴ・モーテンセンでしたが、私にとってはマハーシャラ・アリ演じるドン・シャーリーに断然、ハートを持っていかれました。
ドンの立ち姿、ピアノの演奏シーン、言葉遣い、ラブレターの書き方、差別に黙って耐えるところ、トニーの振る舞いへのたしなめ方、フライドチキンの食べ方w…。一挙手一投足がいちいち美しくて、ずっと見とれていました。
多少英語も分かるので、トニーとドクの語彙の違いまで聴き取りましたが、トニーに対してつい声を荒らげるシーンでも、教養を感じられる言葉を選んでいたと思います。
自分も海外へ行ったことがあるから、やはり多少の人種差別を感じたことがありました。60年代の話からもう50年もたつのに、トランプ氏を大統領に選んでしまうアメリカは、あんまり変わっていないのだなぁと感じます。
だからこそ、マハーシャラ・アリの神々しいまでの美しさをここまで引き出した作品に心から敬意を表したいし、彼が2度目のオスカーを獲得したことも本当に嬉しかった。
あの品格に満ちた気高さにもう一度会いに、映画館に行こうかな。最後のハグも、本当に素敵だった…。素敵な映画をありがとう!
これは最高
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