「差別は良くない。そんな一言では片付けられない問題。」グリーンブック 七星 亜李さんの映画レビュー(感想・評価)
差別は良くない。そんな一言では片付けられない問題。
見たいと思っていながら、少し忘れてしまって、思い出してDVDで見て、あぁ、本当にいい映画だなと思った。
南部での黒人での差別は、この当時だから、ここまで酷いのか、今も残っているのか、正直、勉強不足でわかっていない。
でも、これが、60年位前の話だとしたら、レストランやホテルでここまでの差別は減ってきていたとしても、まるで一つの慣習のように今も残っているんだと思う。
確かに日本人は、アメリカの黒人差別については、疎いと思うし、今、トランプが煽動するアメリカの分断が、南北戦争にまで遡った 根深いものなことを表面的にしか見れていないと思う。
この映画を称賛するアメリカの白人もドクター・シャリーのピアノを聴きにくる観客となんら変わらないのかもしれない。
人種差別は良くないと思うことは、ものすごく必要だと思う。
でも、日本にその差別をする気持ちがないかというと、同じように韓国や中国の人に感じている部分があると思う。
私自身も韓流ドラマやK-POPに対して、今まで、そんなに興味がなかったし、あまり見たいと思っていなかった。
それは、心のどこかでなんとなく受け入れられない差別のような気持ちがあったと思う。
それは韓国の政治家の日本に対しての発言や行動、歴史に対してのお互いの歩み寄りのなさを見るうちに、そのことに蓋をするように拒否反応を感じてしまっていたように思う。
でもこのコロナの巣ごもりの中で、ついに見てしまった「愛の不時着」にはまり、2日で一気見したり、
YouTubeでBTSのDynamiteのキレッキレのダンスを見て、イケメンぷりにハマったりして、
今まで私は、なんでそんなに受け入れてなかったのかなと、
私の中にある偏見と差別がこんなに近くていい人たちを拒否していたことをもったいなく思った。
この映画の中でも白人のトニーは、最初は黒人の作業員が飲んだグラスを捨ててしまうくらい、受け入れていなかったものを
ドクター・シャーリーと出会い、彼と一緒に旅をし、彼のピアノを聴くうちに黒人としてみるのではなく、シャーリーという一人の人間を好きになっていったんだと思う。
差別をなくすっていうことは、すごく難しいことなんだと思う。
人間はどこかで、誰かを自分よりも下に見ることで、自分のことを守ったり、自分たちの仲間意識を強めたりする感情が、埋め込まれているのかもしれない。
だからこそ、そこにその人の肌の色や国籍を見るのではなく、音楽や映画や芸術や食べ物や、同じように一緒にいいものはいいと感じられる気持ちを持って、
ひとくくりに考えるのではなく、その中の一人でもいいから、好きになれる人を見つけることの方が、ずっと近くに感じられるんじゃないか。
そんなふうに思った映画だった。