劇場公開日 2019年1月25日

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「大人が出演しないという決断。果たして英断か」十二人の死にたい子どもたち うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0大人が出演しないという決断。果たして英断か

2025年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『ソウ』『十二人の怒れる男』『エグザム』の、いいとこ取りを目論んだようです。映画の導入としては非常に上手く運んでいます。

てっきり、正体不明の殺人鬼をつきとめて、最小限の犠牲者に留め、心の底から「死にたくない!」と叫ばせる展開を想像していましたが、いい意味で裏切られました。

考えてみれば、私も10代の頃は取るに足らない事で消沈し、死んでしまいたい。なんて考えた覚えがあります。どこまでが原作の意匠なのか分かりませんが、実は心の奥底に生きていたいという願望を残しつつ、互いを理解し合うことで解決出来ないだろうか?という強烈なメッセージを感じました。

そして、この映画の思い切った決断に、大人が一人も出演しないという要素があります。むしろこの映画で語られる大人って、積極的にイジメを率先し、借金のカタに保険金を当てにして子供を殺す事を企んだり、作り上げた型に当てはめた挙句に自由を奪ったりと、ロクな人物がいません。そんな大人たちに囲まれた子供たちは、絶望の果てに自殺を選ぶ有り様。やや乱暴な印象を受けますが、そのくらいの発想の飛躍が無ければ映画は面白くならないので、着想の段階では非常に上手くいっていると思います。

残念なのは、もう少しキャラクターに幅を持たせる工夫が足りない事です。みな一本調子で、川栄李奈、杉咲花、新田真剣佑以外のキャストは、誰が誰でも大した違いを感じられなかったこと。

それと、ラストに流れるいかしたテーマソングが、American authorsの丸パクリなのが、苦々しい気分にさせられました。

それにしても橋本環奈は自分で役の幅を狭めてどうするんだろう。セルフパロディを許される程に自分の認知度が高いと思ってやしないだろうか?

うそつきかもめ
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