「同年代には響きやすい=観やすい」十二人の死にたい子どもたち maruさんの映画レビュー(感想・評価)
同年代には響きやすい=観やすい
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それぞれの登場人物の家庭環境を、人生の背景を「描きすぎず」、断片的に紹介することで鑑賞者で勝手に想像力を働かせる。それぞれの「家庭環境」に重ね合わせながら、「自分で死ぬことがいかに○○か」を感じさせながら、12人という『例』をあげ、「自分よりひどい状況がある・似た状況がある」と思わせ、結果「世間を知る」ことになり、「狭いコミュニティから離れて広い視野を得る」ことを教えてくれるような映画。
なんやかんやあって、自殺から生きる希望を見出した一時の感情の高揚に任せて、意気揚々と出て行ったティーンたちは、何も「現実は変わっていない」んだけれども。
それぞれ置かれた立場は変わらないけれども、本当の意味での「共感」を得た。SNSで得られる刹那の共感ではなく、本当の意味での『共感』を得た。この気持ちの変化を保てるかどうかは、それぞれにかかっているが、現実は変わらないが、それぞれ「自分」を変えられた。
自分の見ている世界が「世界」ならば、「自殺を決意してた自分」と、「自殺を止めた自分」から見える「世界」は変わって見えたはず。杉咲花が演じた少女も、皆が自殺を止めたあとで「世界」が変わってみえたからこそ、今まで自分を支えてきた『死のうとしてた自分』を否定したくないからこそ、まだ、また死のうとしている。
テーマに沿った内容をきちんと伝え、若者向けでとても観やすい、よくできた映画だと思いました。
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