「これはファインプレーだ。」十二人の死にたい子どもたち mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
これはファインプレーだ。
冲方丁の原作を堤幸彦監督が映画化。ニクいまでに堤色が薄いので驚いた。
冲方丁は「天地明察」で本屋大賞を受賞しており、本屋大賞受賞作家としてのプレッシャーもあると思われるが、湊かなえや伊坂幸太郎ほどではないにしろ、新刊をコンスタントに出している。
その冲方丁が初めて取り組んだミステリー、ということになっている。
小説ではよくわからなかった、12人が集まるまでの人の動きがよくわかっただけでも映画化の値打ちはあった。エンドクレジットでもう一度おさらいしてくれるのも親切であった。
原作で描かれた濃密なそれぞれの悩みは、2時間程度では描ききれない。またアンリ(杉咲花)の主張は、原作と違っていたりする。
だが、そういったことは12人のアンサンブルがカバーしてくれた。
杉咲花、高杉真宙、新田真剣佑、北村匠海、黒島結菜、橋本環奈という名のある人たちの演技は見ごたえがあったし、
渕野右登、坂東龍汰、竹内愛紗、吉川愛、萩原利久、古川琴音のオーディションで選ばれた面々も頑張っていた。
映像的にはカットを割っていても、ワンカットで撮っていたシーンもあっただろう。役者たちは、それによくこたえていた。
倉持裕の脚本も、それぞれのバックボーンに深く踏み込まない選択をした脚色で、その潔さは買いである。
彼らの思いは観た人それぞれが受け止めればよいのではないか。
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