「セラピー」十二人の死にたい子どもたち U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
セラピー
なかなかにショッキングな表題の割には、なかなかショッキングな事が起こらない。
とあるサイト繋がりで、安楽死を選択した高校生たちが廃病院に集まったりするのだが…皆さまかなり積極的に皆を巻き込んで死にたがる。
最早この時点で、主体性なき主張みたいな感じでヘタレ感が漂う。
…そう思えば、個としての希薄さが目立つ社会の縮図に見えなくはない。
主張だけは激しいくせに、いざ実行する機会を与えられたら尻込みする臆病者たち。
その代表者たちなのかもしれない。
で、まあ、死を望む理由は当たり前のように十人十色であるのだが、そんな輩達なのでのっけからブレる。
こんな状況では死にたくない!とか言い出す始末。…どんな状況でも死んだら終わりだ。何が起ころうと、起こるまいと死んでる輩たちは干渉できないし、される事はない。
そんなありきたりな結論をなんとか誤魔化そうとするもんだから、どおにも話がとっちらかっていく。
犯人探しとかどおでも良くないか?
いっその事、バトルロワイヤルよろしく殺戮が始まった方がまだ正常だと思える。
最終的には超推理が始まり、それが悉く正解で、何故か死に対して拒絶を決断する展開となる。
なんの茶番なんだろか?
何を根拠にあの推論を構築したのか謎だし、何の目的があったのかも意味不明なのである。
あげくその推論によって皆が各々の死を思い留まる。
なんでなの??
つまりは結局のところ、誰1人としと死ぬ覚悟が無い若者たちの座談会なのだ。
とまぁ、そんな結論に至るわけなのだけど、ハラハラドキドキ感などまるでなく中盤の構成がもっと死というものに直結してたりスリリングであったらなぁと残念に思う。
ただ、杉咲さんだけはちょと異質で…。
思春期真っ只中の根拠のない無敵感を存分に醸し出してた。
皆があのぐらい理不尽にでも我を通そうとしてたら、作品の雰囲気も変わってたかもしれない…。
つまりは、皆さま体良く「成人」だったわけで…常識を有する大人だったわけだ。
ただ
この手の作品を作る意義はきっとあると思う。
死という選択肢はあるにはある。
でも、他の選択肢も必ずある。
1番の人が言ってた。
皆、死なない。
孤立や孤独から脱するのが最適な処方箋なのかもしれない…。
まぁ、それが一番難しいとは思うけど。