「ヘタな謎解きゲームにならなくて、むしろ良かった」十二人の死にたい子どもたち Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
ヘタな謎解きゲームにならなくて、むしろ良かった
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出演者名を伏せながら、予告編でティザー公開していく宣伝手法で話題になった。杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜といった主演級の若手俳優をズラリと揃えて、興味をそそるミステリー作品。
廃病院を舞台に、それぞれの理由で安楽死をするため集まった12人の少年少女たち。
タイトルがセンセーショナルだけれど、いかにも客寄せホラー的で、良くいえばポップだけど、ヘタなコピーフレーズの感じも漂う。
メジャーヒットを数多く手掛けた堤幸彦監督ということもあり、過去の「インシテミル」(2010)や「ライアーゲーム」(2010/2012)のような謎解きゲームバトルになりそうな不安も頭をよぎってしまう。"またか"にならないといいが・・・。
ところがコレ、「天地明察」の冲方丁の原作小説と聞いて、"おやっ?"と思う。
12人の少年少女たちが見つけたのは、ベッドに寝かされたもうひとつの死体。ここで"13"という不吉な数字になる。
ネットを介して、ホストの呼び掛けに賛同した若者たちか、なぜ安楽死を求めるのだろうか。
見事なのは、その理由のひとつひとつが丁寧に裏付けされており、いちいち腑に落ちる。それぞれが死にたい理由は違って当然。ひとりで自殺はできないけれど、苦しみや最期を共有したい弱さも浮き彫りにされてくる。
13人目の死体の殺人犯探しが始まり、徐々に変化していく12人の心理状態が、グイグイと目を釘付けにする。
シーン経過が時系列でなく、エンドロール後に"種明かし"のようになっているので、エンディングまでしっかりと楽しめる。
(2019/1/25/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ)
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