「欧米人の見た日中戦争」デスティニー・イン・ザ・ウォー バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
欧米人の見た日中戦争
デンマークのビレ・アウグスト監督が、中国で撮った第二次世界大戦を背景とした文芸映画。原題は「烽火芳菲」で英語題は「The Chinese Widow」なのに、なぜかこんなわけわかんない邦題に。太平洋戦争初期のドーリットル空襲終了後に中国へ向かう途中、墜落する機体からパラシュートで脱出した米軍機長が、貧しい中国の未亡人とその娘に助けられ、彼女たちのあばら家に匿われる。だが彼を捜索する日本軍の手が徐々に迫り……というストーリー。
ビレ・アウグストの映画は大学時代にデンマーク映画『ペレ』を観て以来だが、必要以上に劇的にはしない落ち着いたというか重い作風は変わっていない。脚本もヨーロッパの人で、どことなくヨーロッパ映画っぽいが、同時に中国映画らしくもあるのが欧州の歴史深さか。機長役のエミール・ハーシュという俳優はよく知らないが、どっちかというと未亡人のほうが主人公っぽく、演じているのはリウ・イーフェイ。儚げで美しい未亡人を好演している。空襲される東京のCGが今一つ東京っぽくなかったり、未亡人に目をつけて家捜しに来る日本軍の少佐がいつも部下も連れずに1人で来るのはちょっと不自然だったが、全体的にはなかなかの佳作だった。
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