「英国上空で、ポーランド人飛行隊がドイツと戦っていたとは!」バトル・オブ・ブリテン 史上最大の航空作戦 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
英国上空で、ポーランド人飛行隊がドイツと戦っていたとは!
デビッド・ブレア監督による2018年製作(107分)のイギリス・ポーランド合作映画。
原題:Hurricane、配給:「バトル・オブ・ブリテン」上映委員会
劇場公開日:2018年11月6日
「バトル・オブ・ブリテン」におけるドイツとの航空機の戦いに、ポーランドから亡命してきたパイロットが多数参加して大きな成果を挙げていたことを、初めて知った。ポーランドは、ドイツとソ連により一方的に蹂躙されたイメージであったが、優秀な空軍兵士が多数いたことに驚かされた。
技術も確かだが、それ以上にナチへの復讐心から闘志も旺盛に描かれており、それだけに仲間がつぎつぎと戦死していく描写が、リアルで痛ましい。最後、部隊員は国外追放となり、祖国へ帰還した者の多くが処刑や強制労働させられたとの事実にも戦慄。あんまりに理不尽だ。純粋なポーランド映画ではなく、このひどい仕打ちをした英国との合作であることも驚き。
そう古くない映画だが、航空戦の映像が模型感満載なのは、かなり驚かされた。主人公と絡む金髪女性兵士役のステファニー・マティーニが、色っぽくて魅力的であった。彼女、この後も主演映画が2作ある様だが、日本で公開されていない様なのはとても残念。
映画では全く触れられていなかったが、イワン・リオン演じた主人公ヤン・ズムバッハ(本当はスイス人らしい)のその後も興味深い。カタンガ国が独立直後のコンゴ共和国から分裂すると1962年にカタンガに渡り、同国独裁者モイーズ・チョンベの頼みで同国空軍を創設して司令官となり、更に1967年にはナイジェリアから独立を宣言したビアフラでまた同じように空軍を創設してビアフラ戦争を指揮したらしい。何と数奇な人生、ただ映画でもそんな変わり種的雰囲気はかなり出ていた気もした。
監督デビッド・ブレア、製作クリスティアン・コズロウスキー 、マシュー・ホワイト、製作総指揮ノーマン・メリー 、ピーター・ハンプデン、 フィル・ハント 、コンプトン・ロス、脚本ロバート・ライアン 、アリステア・ガルブレイス、撮影ピョートル・シリスコフスキ、美術ミケール・フライシャー、編集ショーン・バートン、音楽ローラ・ロッシ。
出演
イワン・リオン、マイロ・ギブソン、ステファニー・マティーニ、クリストフ・ハーデク、マルチン・ドロチンスキー。
ご存知かもしれませんが、英独双方の実機を使用して制作された作品が空軍大戦略(1969)です。亡命ポーランド空軍兵が独立部隊を編成してスピットファイアで戦闘しているシーンもあります。実機の迫力は素晴らしくドックファイトも本当に撮影されています。バトルオブブリテンは英王室を宗主している多くの国と3C政策下の植民地国からも参加した英本国防衛作戦でした。余計なコメントで失礼しました。