七年の夜のレビュー・感想・評価
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おぞましい
チャン・ドンゴンの娘へのDVから始まって、めちゃくちゃ胸糞悪かったが、話が進むにつれ、収まるかと思いきや、更に胸糞悪くなっていく映画でした。オールドボーイを思わすような、韓国映画特有の残酷な流血だらけの復讐劇。苦手です。娘を殺した復讐から、殺人犯の息子をダムで溺死させようと、止めるにはダムの水を開放しなければならず、開放したら、村が水没するって、スケールがでか過ぎる。チャン・ドンゴンも何故娘を虐待していたのに、あれほど復讐したかったのか、愛し方を知らない孤独な男。ダムに突き落とされて、よく生きていたのと、何故、殺人犯の息子に七年待って復讐しようとしたかわからなかった。また、殺人犯も何故、散々会わなかった息子に会いたくなったのか、無責任だし、息子のラストシーンの笑顔もわからない。チャン・ドンゴン最初、誰だか分からないくらい額が上がってしまい、老けたなぁ。
魔の井戸は受け継がれる・・・
韓国映画のサスペンスというと名前を覚えるのに一苦労するのですが、この話の登場人物は単純明快。しかし、それぞれの過去や心の傷は相当深く、重苦しさに息が詰まりそうになるくらいだった。
ひき逃げ殺人、死体遺棄とかなり重い罪を犯してしまったヒョンス。幼い時、ベトナム戦争から傷痍軍人として帰ってきた父親の暴力に耐えかね、母親は自殺してしまう。そんな憎むべき父親を何とかしたいと、魔の井戸へ軍靴を投げ入れる。井戸に靴を落とすと本人も命を落とすという伝説があったからだ。そして父親は本当に死んでしまったという過去。
娘セリョンを殺された院長ヨンジェは愛されていないと知りつつも美しいハヨンと結婚し、セリョンを虐待しながらも、いつか自分を愛してくれるものだと信じていた。そしてハヨンは自殺。
ヒョンスの後輩で“ワニ”と呼ばれる水死体捜索の潜水士のスンファンは「痴漢をした」とヨンジェに濡れ衣を着せられたという過去もあり、慕ってくれていたセリョンが血まみれになり訪ねてきたのに居留守を使い、そのため交通事故に遭ってしまう。そして、ヒョンスの息子スウォンは大量殺戮犯の息子ということでイジメに遭い、居場所がなくなる。
それぞれのトラウマ、心の傷が癒えぬまま運命的な邂逅によって交差する葛藤と皮肉。内なる凶暴性を秘めた人間ドラマが大量殺人をも生んでしまうのだ。復讐のため、ヨンジェはヒョンスの息子スウォンを木に縛り付け水没させようとし、ヒョンスは息子を助けようとダムの水門を開く。一気に水を放流すると村が水没し数十人が犠牲となるとわかってのことだ。そして、スヒョンは自首して死刑確定となり、7年の歳月が過ぎたのだが、ヨンジェの復讐心はまだ終わりを迎えていなかった!あの時放流先の川底へと突き落とされたのに・・・
父と子の絆と相反する確執。虐待という手段も愛に飢えていたからなのだろうが、許されるものではない。そうして毎晩悪夢を見るヒョンス。大勢の人間を殺したからではなく、父親を呪い殺したことによるものだ。真っ赤に染まる空が不気味でもあり、いつしか現実の方が心地よく思えるくらいだったろう。そしてヨンジェがまた息子を狙ってくることを悟ったのだろうか、刑務所内で自殺するのだ。
一方、復讐という生きがいを無くしたヨンジェの取った行動はこれもまた自殺。スウォンを殺そうとしていたのだが、どうでもよくなってしまったのだ。運転していた車は川へと転落。そこは水没した村の辺りだったという皮肉。七年の悪夢によってヒョンスの罪は消えたのだろうか・・・いや、消えるわけがない。
小説はベストセラーだったらしいけど、映画としてはアクション満載にして惹きつけるため、各々の心の奥底まではわからない。むしろ一人のために大勢を殺す親心を問うこととヨンジェの復讐心が重点となっているような気もする。それならもっとヨンジェの七年の苦悩も描いてもらいたかったところだ。
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