「定着する土壌があってこその挑戦」リトル・フォレスト 春夏秋冬 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)
定着する土壌があってこその挑戦
ソウルで夢破れた女子大生が故郷の農村に逃れて1年。
冬、春、夏、秋、そしてまた巡りくる冬。
四季それぞれの豊かな表情を見せる自然。
豊かな恵みを与えてくれる山野と人の努力の結晶である田畑。
その双方から受け取った命の糧を丁寧に料理して大切な人とともに味わう。
そんな1年を通して心の傷が癒えてゆく様が穏やかに描き出されます。
美しい農村の四季と、ソウルに出るまでの幼少期の思い出が交互に映し出される構成が、なぜ彼女が戻ってきたのかを物語ります。
現代にも受け継がれている韓国の伝統的な風習や食べ物の作り方を観られることも本作の魅力です。
種明かしをあえてふせて、なんとなく希望の気配を感じさせるラストも最高です。
韓国映画って全てを明らかにせずに、こういう余韻いうかと観客の想像力に委ねるような作り方が特徴的だなぁと改めて感じました。
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