長いお別れのレビュー・感想・評価
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『ギムレットには早すぎる』 でも、 さようなら♥
『GPS付きの携帯。これなら安心よ』
『何処にいるか知られるの嫌なんじゃない』
『大丈夫よ』
『私がいくら頑張っても家族には勝てないもの』先生は答える
『そりゃな、ギュッとだよ』
『生きている限り、生きていて欲しい』
『KOKORO』を読んでいたマスターは先生と同じように右手をかざした。
少年はあの時と同じように、右手をかざし、僅かに微笑み返した。そして
『さようなら、先生』
追記 卵焼きよりもハードボイルドだど。
家族の温もり
生真面目な人生を送ってきた認知症を患う元校長の父親を、時にユーモラスに山崎努さんが巧みな演技で魅せる。
心優しく献身的に支える妻を、松原智恵子さんが魅力的に演じていた。
変わりゆく父親の言動に戸惑い、心を痛めながらも温かく接する娘を蒼井優さんが好演。
父親に娘達が本音で語りかけるシーン、記憶が薄れゆく中でポロリと呟く台詞、愛情深く夫を支える妻の姿が強く印象に残る、優しさ溢れる作品でした。
竹内結子さんの明るい笑顔に、改めて亡くなられた淋しさを感じました。
母は偉大
遊園地からの始まり中盤に繋がるのが好きでした。
悲しいお話かなと思いきや、結構声出して笑って
ふとホロリとなったりじんわり温かくなったり。
どのシーンの、どの人物にも感情移入できる邦画の良さがある作品でした。
記憶をどんどん無くすけど、あの頃に突然戻してくれるお父さんに家族はどれほど救われたことか。
でも1番はお母さん。
このおっとりと、優しさと強かさにこの家族は支えられている気がしました。
このお母さんなくして、この素敵な家族は無いと思います。
3.11を絡めても上手く話をまとめていた良作だと思いました。
ふみのような誰とも繋がらないような孤独を感じた人も沢山いたはず。
出演者が皆さん本当によかったです。
蒼井優さん、改めて素晴らしい女優さんだなと思いました。
良い映画
竹内の裕子ちゃんが亡くなって、一本彼女の映画観ようかな、と。蒼井優、山崎努、松原千恵子(感心!)、北村有起哉の達者たちに囲まれても存在感抜群!それも本当にナチュラル。つくづく惜しいです。。。
「くりまるな」とか「ゆ~っとするんだな」
映画「長いお別れ」(中野量太監督)から。
書籍「長いお別れ」(中島京子著・文藝春秋刊・263頁)を読んでから、
もう1年半以上が過ぎたが、案外、ストーリーを覚えていた。
当時「お父さん、つながらないって切ないね」を取り上げ、
今回も「この頃ね、いろんなことが遠いいんだよ」「遠いって?」
「いろんなことがね、あんたたちやなんかもさ」
「遠いのはやっぱり寂しいよね」の会話が気になったけれど、
もっと面白いシーンにぶつかった。
もし仮に、認知症で徘徊したり、行方不明になっても、
携帯電話の「GPS」機能を利用して、居場所がわかる、というシーン。
その「GPS機能」を説明する娘2人と、母親との会話。
「ジー・ピー・エス?」「そう、GPS付きの携帯を持たせとけば、
もし不意に出て行っても、いつでもどこにいるかがわかるの」と、
認知症の父親に携帯(GPS機能付き)を持たせようとするが、
母親は「うん…」とあまり気乗りがしない。
そして、私を笑わせてくれた一言。「でもお父さんだって男よ、
今どこにいるか、知られたくない時だってあるんじゃないかしら」
真剣な顔つきで、反論した姿がとても楽しかった。
それに対して、バッサリと「ないと思う」と即答した娘との対比。
夫婦と親子の差なのかもしれないが、メモ帖を騒がせた。
「まぁ、そう、くりまるな」とか「それはな、うん、ゆ~っとするんだな」と
感覚が言葉になってきた時、意味はわからないが、
「ゆ~っと?」と訊ねたら、「ゆ~っとだ!」と自信げに答える会話で、
なんだか、ほっとしたのを覚えている。
あれっ、原作にもあったかな、こんな場面と、会話。
仕方ない、もう一度、読み直しだな。
家族の絆が感じられたが…
ずっと気になっていたのですがレンタルで自宅で観ました。
認知症の父の介護とひたむきに寄り添い、それを支える家族…とても良かったです。
ただ娘2人の背景はちょっと微妙かなと思いました。
後半で嘆いた、お父さんお母さんのような家族になりたいと泣いた時にジーンと来ましたが、それまで苦労ばかりで辛かったです。
ただ何故か心に響かなかったなぁと…なぜだろうか。
家族の相互理解は深い
機内でうっかり見てしまい、静かに大泣きしました。
校長先生まで勤めたしっかりしたおとうさんが認知症発症。丸ごと受け入れられるおかあさんがとても素敵。
7年間にわたる家族の理解が描かれています。
最初は父親の変化に少しショックを受けつつ温かく接する次女のふみと、海外駐在に家族帯同中で自身も余裕のない長女のまり。
国内にいるから何かとお世話する役割を担ってしまう、蒼井優演じるふみなのだが、自身の夢や恋愛はもがきながらで順調とは言えず何かと打ち砕かれていて、、でも、認知症ながらも、娘が前を向ける言葉がけが自然に出来るおとうさん。
アメリカ暮らしにいまいち馴染めず、息子も思春期に差し掛かり育児が思うようにいかず、夫は無口で、孤独を噛み殺して暮らしている、竹内結子演じるまり。おとうさんの認知症がきっかけでたまに国内に帰省するが、孫との信頼関係を自然に築いたり、テレビ電話を通して、娘の弱音を聞くおとうさん。
認知症の進行によっておとうさん自身の言動の変化も大きく、家族はかつてのおとうさんからの変化に戸惑いながらも理解が求められる状況なのだが、それと同じくらい、7年間移りゆく家族の生活や心境の変化に、認知症のおとうさんが無意識に深く関わり、良い影響を与えて支えている。
この構図がとても素敵で、おとうさんとおかあさんの揺るがない仲の良さが、もういい大人だが悩み多き姉妹のメンタルを支えている。どこまで正気かわからない状態なのに、数十年前の結婚を申し込むやり取りを再びおかあさんにするおとうさん。
認知症介護というと理性ある行動を取れなくなった存在の面倒を見る面ばかりが浮かぶが、実際は、緩やかな進行の間に、家族での様々な思い出が詰まっていて、ぼけてしまっても親という存在は最後まで親なんだなと。
おとうさんからの読書好き、おかあさんからの料理好き、季節の葉を読書中の本の栞にするなど、言動や嗜好面でも家族の繋がりを感じる。
月日が過ぎ、地理的に離れても、家族は繋がっている、血も繋がっていると感じさせる作品。
☆☆☆★★★ 原作読了済み。 映画のオープニングは原作と同じく遊園...
☆☆☆★★★
原作読了済み。
映画のオープニングは原作と同じく遊園地の場面から。
原作自体が。認知症の父親と、その家族との絆を描く連作短編集の為か。ところどころで(掲載ページ数の関係か?)中途半端気味になっているのは、読んでいて少し気になったところでした。
例えば映画で、次女が昔の同級生に会う場面。
原作とほぼ同じ設定ではあるものの。原作ではただそれだけで、映画ではその後の場面をオリジナルとして追加している。
原作にて描かれていない(寧ろページの関係で描ききれなかったのか?)長女の家庭内での、冷え切った夫婦仲や息子の引きこもりに至るまでの過程。
それらの、原作で詳しく描けなかったところを映画では捕捉していて。「帰りたい!」と言っては困らせる父親と、慣れないアメリカ暮らしに疲弊する長女が、幾度も帰省する場面を。原作以上に対象させて描いていた。
オープニングでの遊園地の場面も。原作では小さな姉妹と、メリーゴーランドにただ乗るだけなのに。映画では、過去の思い出とリンクさせる事で家族の絆を強調させている。
ちなみに、原作では長女の旦那はほとんど描かれず。次女は雑誌やテレビで引く手あまたなフードコーディネーター。
父親役の山崎務のボケっぷりは流石の域だが。母親役の松原智恵子は原作以上とも言える。
原作では母親が中心に居て、その奮闘振りが凄いのだけど。クレジットの最初に次女役の蒼井優が来る事から分かる様に、映画はこの次女を映画の中心として描く。
個人的には、映画が次女目線にシフトさせ過ぎた為か?痴呆症を抱えた家庭の右往左往とする様子は、原作と比べて少しばかり薄まっている様にも見受けられた。
映画は、原作には無いところで色々と工夫がなされていて。通夜の場面での「1本!」と叫ぶ辺りや、スーパーでの事件の後に「立ってなさい!」等と怒るところに、電車内でのプロポーズ等。原作には無い認知症ゆえに周りが翻弄される様子は、なかなか味わい深い演出だったと思う。
反面で「コレはちょっとやり過ぎでは?」…と感じたのが。河原での行列や、♬上を向いて歩こう♬の場面に於ける、引きの撮影にて殊更演出しているところを主張する場面のあざとさははちょっとだけ嫌だ(-.-;)
嗚呼!そう言えば。原作では、「いやだ!いやだ!」と周りを困らせる父親に対し、「先生!先生!」と自尊心を刺激する事で何かと解決する場面が有り。それがラストシーンへと繋がって来るだけに。その「先生!」の台詞が無かったのはちょっと残念。
…等と、グダグタ言いつつも。これは原作を越えて来た秀作だと思えました。
2019年6月2日 TOHOシネマズ府中/スクリーン8
くりまるな! ゆーっと! ね♪
認知症の…
徐々に記憶も、感情も、遠のいていく様を
『長いお別れ ~ A Long Goodbye ~』
という言葉に置き換えても…
それは、悲しいお別れの段階だけではなく
ヒトとして、こころを豊かにしてくれる
貴重な時間のことなんだ、とわたしは思いました。
記憶や感情を失っても
ヒトがヒトである以上
けして「こころ」だけは失うことはない…
…だから、メリーゴーランドのシーンは
劇中の家族にも、皆さん鑑賞者たちにも
そしてわたしにも…
胸に刻みこまれた「心象風景」として
こころに留まり続けることでしょう…
《 家族愛 》を題材に作品を撮り続ける
中野 量太 監督の傑作がまたひとつ生まれましたね!
姉・麻里の闊達なところはお母さんに
妹・扶美の本好きで数字に細かいところはお父さんに
それぞれ似たんだろうなぁ…
と思わせる手腕はさすが!
物語を彩る “ 小物使い ” が実に効果的かつ叙情的!
でも本作において「伏線、および回収」
なんて言葉は適さないと思いました。
なぜならば、それらは
家族が共に重ねてきた時間のなかで
家族だけが獲得し、知りえる〈合言葉〉の象徴なのだから…
実際、家族を介護してる方々にしか分からない苦労
辛さというものがありますし
今後、家族が要介護になりえる不安を抱えている世代
しいては社会全体が直面する問題を描いていて
わたし自身、観ていて正直しんどかったですが…
家族からもたらされる幸せというものは
家族しか得られないものだと…
改めて本作『長いお別れ』を鑑賞して思いました。
難役をこなす山崎 努さんの思慮深さと
経験則からなる確かな演技が光る!
重くなり過ぎがちなテーマを
明るく朗らかな役どころでもって
本作に彩りを与えてくれた松原智恵子さん
家族のなかで一番
喜怒哀楽がはっきりしていて
観ていて気持ち良かった!竹内結子さん
蒼井優さんの好演にありがとう!と言いたい!
そして実生活でもお幸せに!
ファンタジー
事前情報を取得していなかったので、認知症を鍵とした
大いに身につまされて泣ける映画だと思いこみ
泣く準備万全で臨みました。
認知症の深刻さや悲惨さがえぐく描かれるかと思いきや、
それが前面に出てくることは全くありません。
逆に、とぼけた笑いがいっぱいです。
認知症になった昇平のとぼけた言動が、
とぼけた笑いを生み出します。
さらに天然ボケともいえる明るい妻の態度も、
それに輪をかけます。
終始とぼけた笑いの続く明るい映画でした。
なので、認知症の親の介護をした経験のある人や
現在介護中の人が観たら、ふざけていると
怒ってしまうかもしれません。
認知症の親を抱える天然系の家族の中にも
いろいろドラマがあります(娘とその息子の断絶や
次女の飲食店を持つ夢など)が、認知症メインではなく
それらのドラマに認知症がアクセントとなっている
感じです。
認知症の昇平が娘たちに力を与えるというお話し
となっていて、一種のファンタジーだと思われます。
認知症の症状も7年間の間にそんなんに劇的に悪化
するとこなく、終盤までとぼけた感じの認知症を
山崎努がうますぎるくらいの演技で演じています。
ちょっとうますぎて少し引いてしまいします。
妻役の松原智恵子の天然系の演技もうますぎてこれもまた
少し引いてしまいます。
そんな中
【ネタばれ注意報】
記憶を失った昇平がもう一度妻ににプロポーズするシーン
には唯一泣いてしまいしまた。
※蒼井優はこの時もう付き合っていたのか。
※「長いお別れ」の意味(元は英語)を初めて知りました。
くりまるな、ゆーとすればいいんだ
かつて中学校の校長をしていた厳格な東昇平(山崎努)。
ふたりの娘は独立し、妻・曜子(松原智恵子)とふたり暮らし。
昇平の70歳の誕生日に、長女・麻里(竹内結子)、次女・芙美(蒼井優)は久々に実家に顔を出し、一家が揃った。
が、そこで母から父が認知症を発症している旨を告げられる・・・
といったところから始まる物語で、認知症を扱ったドラマも多く、ドキュメンタリーには佳作・秀作も何本もあり、いまさら・・・感もある。
期待するところは、前作『湯を沸かすほどの熱い愛』でみせた中野量太監督の熱い演出なのだが、前作程の熱さがない。
ベテラン山崎努、実力派・蒼井優の見ごたえある演技で飽きずに観れるが、妻や長女の人物造形が類型的すぎる。
冒頭と終盤に登場する遊園地のシーンなんかは、やはり監督の演出力を感じさせるが、アメリカ住まいの長女とその息子の話など、ノーリアリティといってもいいぐらい。
とはいえ、途中、昇平が芙美にアドバイスする「くりまるな、ゆーとすればいいんだ」なんて、印象的な台詞もあり、そう悪い点も付けたくないなぁとも思います。
ラストが疑問
素直に感動できる良い作品。
役者さんもナチュラルで、心地よかった。
ラストが残念。
あの終わりはもったいない。
孫が外国人の先生と会話するところ。
あんなシーンで終わりにしてしまうな!と思った。
で、君の不登校はお祖父さんのせいではないんだよね?→はい
何で不登校だったの?
わかる方教えて下さい。
思ったより泣けなかった
厳格な父。元校長の話には出てくるが
映像として、少し見せて欲しかったかなと思います。
あとは、大人になってから妹がしっかりしてて、姉の方がオロオロで。
って本当にそんな感じかと。
あと、こちらは姉妹と母親の女子チームだから家族助け合いって感じだが
これが、息子とか嫁とか色々絡むと今回の様にはいかないなと。
冷静に介護の家族を考えていました。
わが祖母101歳
痴呆になってもはや15年以上。
現実は小説より…です。
中村倫也くん、いい登場やったけどー
消えてもたー(笑)
それもまた人生。
泣きたくてこの映画見ましたが
全く泣く映画ではなかったのが残念です。
山崎努の笑顔にはホッコリしました🙂
家族とは?を問うた作品
タイトルから推察できるが、認知症を扱って家族や夫婦の在り方を問うた作品。
お父さんとお母さん、長女夫婦と息子、次女と離婚歴のある男性との関係など、男女と家族の模様が可愛らしく描かれていて、途中でクスクスすることが多々あった。
特に好きだったのは、
山崎努演じるお父さんが電車の中で、もう一度お母さんにプロポーズするシーン。
それと、網膜剥離手前になったお母さんが、うつむきながらお父さんの病室に会いに行くシーン。
どちらも2人が育んできた関係性が垣間見えて、とても幸せな気分になるシーンだった。
そして、7年間。
お父さんが認知症で記憶を失っていく中、寄り添い続けたお母さんや子供たち。
苦労はあっても家族を楽しみながら支え合って生きていく姿を見ると、家族っていいなと月並みながら思った。
そして、この映画は女性がとても強い。
蒼井優さん、竹内結子さんがカッコよくて、とてもきれいだった。
視点を変えれば幸せなのかも
例えば不慮の事故で家族を失ってしまった場合、その亡くなった本人には感謝の気持ちを伝えられないわけで、残されたもの達の喪失感やヤリ場のない憤りとか想像を絶するし、きっとどこでケジメを付けたらいいのか判らないと思う。
その点、認知症になるということは家族にとって介護の負担も大きいけど、楽しかった出来事を思い出したり、思い出の場所に出掛けたりと、ゆっくり死に近づいていく分だけ別れを共有できる。見方を変えれば幸せなのかもしれません。まぁこれを云えば野暮ですが、これは映画の中のお話し…とても仲のいい、お父さんは家族に好かれている幸せな家族だからです。実際にはこんなケースは稀でしょう!英語では認知症のことをLong good-byeとゆう言い方もするのですね。題名の長いお別れはここからきています。
リアルでは幸せ一杯な蒼井優さん、映画の中では人生が上手くいかない次女役で、ホントに演技がお上手で自然そのもの。お父さんの山崎務さんも心底心配になるくらいの怪演、お母さんの松原智恵子さんは時々ギャグなの?って思ってしまうところもあるけど、家族を想う優しさがにじみ出ていた。
ちょくちょく雑な部分も感じられたけど、孫の崇君が不登校で不良になりそうだったけど、ちゃんと戻ってきてくれて良かった。そして北海道から宅急便が届きハッピーエンド的な終わり方も良かったです。
家族を大切にしよう!と思わせてくれる映画です。
名優そろい踏み
中野量太監督作品。しっかりと伏線が回収される実に良く出来た作品。特に3本の傘とメリーゴーランドのエピソードは良かった。これも、名優がそろったキャスト達の世界観があってこそ。必見の1本だと思いました。
大切な人は忘れない
70歳で認知症を発症した一家の主をめぐり、妻と二人の娘の長いお別れが始まる。
半年前は何ともなかったお父さん。
一度発症するとその進行は止まらない。
わずか数ヵ月で、今まで分かっていたことが分からなくなる。
親しい人は、その変化に戸惑い、受け入れることがなかなか難しい。
その中でも一番近くにいる妻が一番辛いはずなのに、それを表に出さず受け入れようとする愛情が素敵だ。
二人の娘も、夫や恋人との間で心揺れる。
この映画をパートナー同士の関係から眺めると、お互いを理解しようとする気持ちの大切さが染みてくる。
その気持ちがなければ、認知症でなくとも辛い状況にいくらでも陥る。
昨今の社会状況の背景に、この「お互いを理解しようとする気持ち」の希薄さがあるような気がする。
中野監督のインタビュー記事の中に、この映画の為に取材した医師の話として、「認知症は病気なんだから、自分の妻や子どものことを忘れてしまうのは当たり前である」が、「今、目の前にいる人が自分にとって大切な存在だということは忘れない」とあった。
主人公のお父さんは、長いお別れの中で、自分にとって大切な人である妻、娘、孫息子に、「お互いを理解しようとする気持ちの大切さ」を伝えて旅立ったように思うと、人が生きている意味というのは、単に生産性の有無や、物理的に役に立つ立たないではなく、もっと精神的なものではないかと気付かせてくれる、扱われたテーマとは裏腹に、希望を感じさせてくれる素敵な映画だった。
泣いた、白けた、ほっこりした。
誰が一番好きかと聞かれたら、速攻回答、蒼井優。ホント、日本の女優さんで蒼井優が一番好き。何を見ても「この脚本、蒼井優であることを前提に、彼女のために書かれたんじゃないの?」と思わされるくらい、カメラの前で自然に話し振る舞う彼女は、すごいと思う。その対極が今回の共演者である竹内結子。何もかもが「ざーとらしい」。作り物感、ありありで、白ける事が多い。これ、あくまでも個人の感覚でしかありませんけど。蒼井優は10代の時から見てることになるけど、相変わらず可愛い。途中、変な映画が何本もあった気がするけど、今すごく良い。
縁側での山崎務と蒼井優のシーンが好き。これ芝居?演技?ホントの父娘のひと時にしか見えへんし泣かす。ここがピークだった。
介護の現実、女性が夢を叶える事の厳しさ、なんてのを上手く見せてはくれるけど。いや、そこは良いんだけれど。アメリカでのエピソード要るんか?つか、無理くりのグローバル化、英語化に、これまた速攻拒否反応。
学校もお家も研究所も日本建築じゃん。英語しゃべる役者さん、あかへんやん。Long Goodbyeと英語から攻める必然性、ないじゃん。ベタな東京物語にしなかった理由を、製作陣に聞いてみたいです。はっきり言うと、あれで感動半減、涙も乾くってもんで。
嫁不足の北海道。彼も未だ独身かなぁ。「そろそろ要る頃」。タイミング良いなぁ、って思いました。今、彼女に必要なのは君だから!
山崎 努の老練な演技と、尊厳を守り抜く家族の風景に泣けてくる
中野量太監督といえば、前作「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016)が日本アカデミー賞で、宮沢りえが最優秀主演女優賞、杉咲花が最優秀助演女優賞のW栄冠。その他の各賞も受賞したのは記憶に新しい。
この成功は、言うまでもなく、インディーズ監督作品に宮沢りえが主演したことが大きいが、それは中野監督のオリジナル脚本に惚れ込んだからこそ。
しかしそんな中野監督の新作は、オリジナルではなく一転して、中島京子の同名小説の映画化である。認知症になった父親とその家族の物語。家族の風景を描くのは前作と共通している。
原作の中島京子といえば、直木賞受賞した「小さいおうち」(2014)。山田洋次監督によって映画化され、松たか子と黒木華という2大女優を輝かせた。
なるほど、"中野量太監督×中島京子原作"の企画ならば、これだけのキャストが揃うのもうなづける。父親役に山崎 努。2人の娘として蒼井 優、竹内結子が共演する。
タイトルの"長いお別れ(=ロング・グッドバイ)"は、認知症の症状である、時間をかけて少しずつ記憶を失っていく様を例えた言葉だ。実際に著者の父親である中島昭和がアルツハイマー型認知症になり、亡くなるまでの10年間の体験をもとにしている。
また原作は連作短編形式で、父親を中心として、家族ひとりひとりの人生の群像劇となっているわけだが、それぞれのエピソードが家族と父親との年月の変化を、ユーモラスな筆致で描いている。映画もその空気感をうまく伝えている。
この手のテーマにありがちな深刻で重たい空気感が一切ない。
しかし微笑ましくみえて、認知症患者を家族に持つということの実際は、シャレにならないほど壮絶なはず。母・曜子(松原智恵子)が絶えず貫く、父親の尊厳を守り抜く姿勢に頭が下がるばかり。
なんといっても、山崎 努の老練で的確な演技が見どころ。認知症の進行、体力の減衰、コミュニケーションの喪失が明確に分かる。もちろん髪型や服装、メイクなどのサポートもあるのだが、セリフの発声、仕草や姿勢などが徐々に変わっていく。
山崎 努の演技に呼応するように、全力でぶつかる一家を演じる、松原智恵子、蒼井優、竹内結子が作品のバランスを高度に支えている。
明るく描けば描くほど、泣けてくる。
(2019/6/1/ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)
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