「人生に行き詰まった時、受け皿になるのが家族」長いお別れ とえさんの映画レビュー(感想・評価)
人生に行き詰まった時、受け皿になるのが家族
認知症というテーマを扱いながら、心がほのぼのと温かくなる映画だった
仕事を引退して、お母さんと二人暮らしのお父さんが、ある日、認知症になってしまう
これは、そのお父さんの介護をめぐる家族の物語だ
私は、両親の近くで暮らす独身の次女・茉美(蒼井優)の視点で、この映画を観た
きっと、私もいつか茉美のような立場になる時がやってくると思ったからだ
では、家族が認知症になってしまった時の介護には、どんなイメージがあるだろうか
きっと多くの人が、キツイ、臭い、危険という3Kを思い浮かべるのではと思う
私も、その覚悟をしなきゃいけないと、日々思い始めている
しかし、この映画は、そんな時でも悲観的にならず、時にはコミカルに、そして前向きに描かれていたので、その姿にとても救われた
基本は、お母さんがお父さんの世話をする老々介護
でも、お母さんが一人で解決できない時は、近くに暮らす娘がかけつけ、場合によっては、ロスに暮らす長女もかけつける
お母さんがダメなら次女が、次女も長女もダメならヘルパーさんや、デイケアを頼れば良い
場合によっては、施設を頼ることも選択肢の一つだ
もちろん、各家庭の経済事情もあるだろうが
大切なことは、全てを一人で背負い込もうとしないことだ
お母さん一人だけが頑張らない
大変な時は「大変だから助けて欲しい」と言うこと
そのために家族はいるのだ
その家族への視線がとても温かく、優しいところが良かった
人生、思い通りにいかないこともある
歳をとったら認知症になる
そうやって、人生に行き詰まった時、受け皿になるために家族はいるんだ
甘えたい時は、甘えても良い
その温かくて優しい思いに救われた映画だった
最後に「長いお別れ」の意味がわかって、すごくジーンとした
そうか
そう思えば、悲しくないかな