「カケラ」宵闇真珠 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
カケラ
記憶は、時に、曖昧で拙い。
断片はクリアでも、のりしろがどんなだったかは、思い出せない。
薄く靄がかかったようでもある。
白い少女。異邦人。少年。取り巻く人々。母親の幻影。父親。
孤独だった。悲しかった。恋をした。決心した。
どれも重要なキーワードだが、繋ぐストーリーは、安物の消しゴムで消されるように、少しずつ、時が曖昧にしていく。
やがて、間に生まれた距離は、断片をピースごとに際立たせ、美しい記憶のカケラとして残すのだ。
記憶の中の街は賑やかで、故郷の自然は豊かだった。
白い少女は美しい女性に成長し、通り過ぎた異邦人は何処かで生きているのだろう。
残った少年は、どうしているだろうか、たくましく育っているだろうか。
想像が、記憶と今を繋ぐ。
風景や周りの人々は移り変わる。
でも、自分の原点は、アイデンティティは、変わらずに、自分の中に生き続け、想像が今に繋いで、カケラは更に美しく輝き続けて行く。
コメントする