「マイナス志向だけれど、面白い。」不滅の女 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)
マイナス志向だけれど、面白い。
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アラン・ロブ=グリエのデビュー作ということだが、この作品は比較的わかりやすく感じた。(とはいえ、やはりよくわからなかったが…)
ひとつひとつの場面で釘付けにさせられ飽きない。イスタンブールの昔の街が美しくエキゾチックで、またミステリアスで、おもしろいのだ。
そして、正体不明の、実存しているかどうかさえ怪しい女。言葉が通じない人びと。彼らのよそ者を見るこわい目つき。モスクの下では女たちが…、作り物の墓で…、などという話。怖いもの見たさの好奇心を刺激される。
主人公も、とりつかれてしまい、頭が朦朧としてしまったらしい。目に見えぬものに誘導されて自ら死に至る。
でも彼は、最初から朦朧として生きる気力がなかったのだろう。いつも丸まった背中、いつもどろんとした目つきがそれを語っていたと思う。
個性を感じる映画でおもしろさはあったが、マイナス志向な方向性と結末が残念だったので、高評価はつけられないかな。
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