「新たな日本を誰より見たかった男の最後の悪あがき!!」峠 最後のサムライ バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
新たな日本を誰より見たかった男の最後の悪あがき!!
侍の世が終わりを告げようとする時代。そんな空気感を誰よりも敏感に感じ、新たな日本の夜明けを見据えていた河井継之助。
そんなの継之助視点から描く、激変の日本。
西洋文化を柔軟に受け入れてきた男が、その想いとは裏腹に、自分の侍としての立場が邪魔をする。誰よりも新たな日本の姿を見たかった男が、それが叶わぬ方向に向かっていってしまうもどかしさと、葛藤をじわじわと描いた人間ドラマ。
そのため、侍のチャンバラ映画だと思って観ると失敗する作品だ。
日本を代表する新旧役者陣の緊迫感のある掛け合いという点においては、十分に見応えはあるのだが、チャンバラがないというのも合わせて、全体的に地味な画が続くため、エンターテイメントとしての見応えは全くない。
若い世代の心を打つような要素は皆無であるし、こういった時代劇でありながらチャンバラの少ないドラマ重視作品を好む層というのがいなくなっているのが現状。
そんな需要の変化が、皮肉なことにタイトル同様、最後に向かっているような気がしてならない……。
映画としての構成は破綻しているため、歴史好きという人が辛うじて楽しめるか……といったところだ。
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