「心に刺さらなくて残念。。困りました。」峠 最後のサムライ リボンさんの映画レビュー(感想・評価)
心に刺さらなくて残念。。困りました。
何故。
何故、司馬遼太郎さんの原作で、
役所広司さんが主役で
松たか子さん、佐々木蔵之介さん、仲代達矢さんその他多くの良い俳優さん達が脇を固める作品が
何故こんなにも何も心に刺さらず
心に沁みてこない映画になってしまったのか。。
最初の違和感は、役所広司さんと松たか子さんが夫婦に見えなかったこと。
夫婦より親子か、伯父と姪などに見えてしまい。
(これは松たか子さんが若く見えることに拠ると思いますが)
あと今回の主人公、あまり有名ではないが(私は全然知りませんでした)こんな武士も幕末にいたのかーー!!!!。。と思わせるエピソードが何か薄い。
多分長岡藩として、簡単に薩長に迎合しない、なんなら江戸幕府か朝廷かよりも視線は世界に向けられているというところが
劇中で説明はあるものの、見てて実感が湧かない脚本や演出だったと思います。
まるで坂本龍馬のように、「日本国内で争っている場合ではない、日本は一つにまとまり、早く世界で同列に渡り合えるくらい国民を教育し、平和な世の中に!!」と説く人がいた、というような予告編から感じられる主人公のスケールの大きさ、先見の名の深さ、グローバルな視点、俯瞰で日本を見られる凄さ。。。のようなものが、表現しきれてなかったと思います。
オルゴールを横浜から取り寄せるとか、
佐々木蔵之介さんの息子役の武士の青年が絵の才能があると知り「これからの新しい世の中では武士の枠にとらわれず、好きな道を極めてそれを仕事にしていくのだぞ!」という武士らしからぬ現代人のような新しい感覚とか、
劇中で一応表現はされているのに。。
何故か見ていて心に響いてこない。
主人公は芸者遊びが好きで、それが嵩じて妻の松たか子さんまで芸者のいる店に遊びにこさせて一緒に踊る場面。。。すみません、いまいちこの主人公の伝えたいエピソードとして必要なのか疑問に感じました。しかも役所広司さん、松たか子さん、芸者さんの3人で座敷で踊る場面の尺が長い。うーん、せいぜいちょっとだけ出して少し変わってる性格の武士だった、程度に留めたほうが良かったような。全体の話には全然関係ない場面だったので。
松たか子さんが、オルゴールをしんみり聴く場面もちょっと間延び。セリフがあるわけでもなかったので時々挟まれる待ち時間の長い場面が冗長でした。
嘆願書を昼くらいから夜までずーっと受け取りを願い続けたところ位が、信念を貫く武士の表現だったかと思いますが、主なエピソードがそれくらい。
ガトリング砲は一度に360発撃てる凄物というわりにはめちゃめちゃ小さくて、うーんこれあと2つ位買い増しても言ってたほど大した戦力じゃないじゃん!!って残念でした。。
知られざる伝説の武士が見られるかと思ったけど、多分原作を読むだけならきっと興味深かったと思いたいですけど。。「映画としては」残念な作品でした。